マイペースな子のやる気は表面化しないようですが、親はあたたかく見守るのが正解だといいます。もし、じれったい状況が続く場合はどうすればいいのでしょうか。
「このタイプの子は、自分から『これをしてほしい』と言ったことについては、自分の責任を果たそうとして強い意志で臨みます。『毎日勉強できてえらいね。そうやっていると、難しい問題もいずれちゃんとできるようになるからね。ところで、何か手伝えることはない?』こうした言い方を続けることで、前向きに取り組みやすくなります」
■塾に「卑下」しすぎなくていい
「塾の実績にならないボリュゾの底辺の成績の息子に、アドバイスなんていただけるのだろうか」と悩んでいたAさん。それでも家族ではどうにもできず、相談に乗ってもらうことに申し訳なく感じていたそうです。西村先生はこれに対して「卑下しすぎ」と驚きます。
「塾の先生にとって、子どもの受験校や成績は関係ありません。むしろ、現場には『手のかかる子ほどかわいい』という気持ちがあります。同じ思いの先生が、少なくとも半数以上はいるはずです。お母さんが自信をなくすと、その気持ちは絶対子どもに伝わります。『人に言えないほどの点数』だとか、『塾の宣伝にならない学校を受けるんだよ』とか、そういう言葉は口にしないで。もっと自信をもって相談してほしいです。中学受験でその子の人生が決まるわけではありません。前向きに楽しく、期待に満ちた毎日を過ごしていくための中学受験だということを絶対に忘れないでください」
■「偏差値上位ではない子」が挑むケースが増加
中学受験といえば、難関・最難関校を目指してしのぎを削る厳しい受験というイメージがありますが、近年の中学受験では偏差値上位ではない子が挑むケースも増えているようです。
「ボリュームゾーンの幅は今後ますます厚くなるでしょう。都市部の受験率が上がっており、首都圏だと30年前はせいぜい10%超、12~13年前で20%弱程度でしたが、2021年には20%を突破しました。中学受験人口は増加しているものの、特別にできる子が増えているわけではありません。小学校では優秀でも、受験勉強に対してはまだそれほど本腰を入れていなかった子が参加してきています。そして、その層がボリュームゾーンを形づくる傾向がみられます」
次のページへボリュームゾーンにとって理想の中学受験とは