安浪:公立の中高一貫の構想を国が作り、各自治体が中高一貫校を立ち上げ始めてから約20年。東京で初の都立中高一貫校である白鴎高校附属中学校が誕生したのは2005年ですから、当初の理念と現状にずれが出ているのも仕方ないのかもしれません。学力検査ではなく、適性検査と言っているのも、小学校6年間の学力を元に、「我が校に適性があるかどうかを見て、該当する人に入学してもらう」という理念でしたが、今ではベースに私立型の知識がないとなかなか受からない。
矢萩:いつも言っていますが、考え方の順番の問題もありますね。その子がいわゆる受験勉強よりも、資料を読んだり、文章を書いたり、探究的な勉強が好きで、やりたいこともある、というなら私立より都立のほうがあうかもしれないから検討してみよう、という順番になるわけじゃないですか。この質問者さんのお子さんがどういうタイプかはわかりませんが、先に親の方から「都立はどうか」とスタートしている時点で、主体性を重視するという文部科学省の観点からは順番が逆になってしまっている。
安浪:本人が主体的で、やりたいことがあって受験、ってなったとき、都立より私立のほうが間口は広いですよ。作文とプレゼンで入れるところもあるし、1科入試もあるし…都立は必ず適性検査を受けないといけないですから。
矢萩:まあそうですね。都立は校則やルールを遵守しつつ、校風や空気を読むことを前提に、その中で主体性を発揮してください、というところがあるからなあ。
■ゆるく考えていると「やっぱりダメでした」となってしまう
安浪:都立の入試問題って、確かに明確な対策がしにくい部分があります。それに比べて私立ははっきりと対策できるから、あれだけ細かくカリキュラムがあるわけなんです。でも、都立を本気で狙っているお家は、私立並みに親がしっかりサポートしていますよ。「とりあえず受けてみる」とゆるく考えているお家の多くは、「受けてみました、やっぱりダメでした」となっています。
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