矢萩:こういった悩みって子どもにはよくあるんです。例えば、本気で難関校に行きたい、でも勉強はやりたくない、とか。そういう時は視点をチェンジしてあげます。たとえば、「未来にその学校に行けないことと、今1日に何時間も勉強しなければいけないことと、どっちが嫌?」みたいに嫌なほうに焦点をそろえて考えさせる。そうすると勉強するほうが嫌だ、となったりする。

 実際に過去問を見せたり、受験までのスケジュールを立ててみせたりする、というのも手です。目標を持つのは素晴らしいことです。でも、現実的にそれが難しそうな場合、親も真剣に向き合って対話をしていく中で、何かとトレードオフをしていく。そうすると子どももだんだん現実が見えてきたりします。矛盾が同居している状態をいきなり解消するのは難しいです。

■お兄ちゃんをご両親が誇らしげに思っている?

おおた:お兄ちゃんのことを意識してしまうのは、難関校に行っているお兄ちゃんをご両親が誇らしげに思っていて、自分もそれがほしいと思っているからかもしれない。重要なのは、お兄ちゃんはお兄ちゃんで学校のことは関係なしに素敵だと思っている。もちろんあなたはあなたで素敵、ということを言ってあげることかと。絶対的な価値観があれば弟さんの焦りもやわらぐんじゃないかと思います。

安浪:今はまだ4年生だからサンプルがお兄ちゃんしかいない状態なんですよね。だから、まずは親御さんがもっと視野を広げてあげることだと思います。そして、下の子の良いところをもっと伝えてあげる。身体症状が出ているのはあきらかにストレスですから、まずは勉強の量を減らす、塾を休んでもいいと思います。まだ4年生なら全く問題ないですよ。6年生になって現実と理想の乖離が見えてきたら、「この学校に合格するためには、あと3ヶ月でクラスをこれだけ上げないとね。そのためには、今の勉強量の5倍ぐらいやれば上がれるよ」と具体的な目安をサラッと言ってあげると、あっさり目標を取り下げたりします。とにかく今は体調を整えるのが最優先かと思います。親がやるべきはまずは量を間引いてあげることです。

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