「詰め込み」「偏差値」というイメージが強い中学受験。「受験のための勉強は子どもの将来に役に立つの?」「難易度より、子どもを伸ばしてくれる学校を選びたい」といった悩みを抱えている親御さんも増えています。思い切って「偏差値」というものさしから一度離れて、中学受験を考えてみては――。こう提案するのは、探究学習の第一人者である矢萩邦彦さんと、「きょうこ先生」としておなじみのプロ家庭教師・安浪京子さんです。矢萩&きょうこの「偏差値にとらわれない」中学受験相談室。今回は連載特別版として、9月23日、教育ジャーナリストのおおたとしまささんも交えて3人で行われた中学受験セミナーから、参加者の質疑応答を再現レポートします。
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■身体症状が出ているのは明らかにストレス
おおた:身体症状が出ているということは明らかにストレスがある、ということですよね。だけど、優秀なお兄ちゃんがいて、お兄ちゃんと同じ学校を目指したい。ある種のコンプレックスも感じているのかな。そこに彼の中で理想と現実のギャップがあるわけですよね。
ある不登校専門の塾の先生から聞いた話ですが、そもそも子どもには二つの根源的欲求があるそうです。ありのままの自分でいたい、認めてほしいという「ありのまま欲求」と高い目標を目指して自分でリスクとコストを引き受けたいという「ドライブ欲求」というものです。一見相反する二つの欲求がバランスが取れているといいんですけど、「ドライブ欲求」が強い子もいる。この子もそうなのかな。そのような時は、どうしたらいいか。
まずは本人の気持ちを大切にしてあげながら、徐々にホンネも表に出せるように寄り添います。例えば、自分の実力以上に難しい課題に取り組みたいというなら、「そんなことをしても無駄」と諭すのではなく、まずはその気持ちを受け止め「絶対に解くぞ!」という気合で周りの大人が力を貸しながら1問だけ解いてみる。これ、ここの塾では「松岡修造の熱さで腕立て伏せを1回する」と表現していました。
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