小学1年生の息子を持つ30代の父親。ワガママな友達A君にいつも譲ってばかりの優しい息子をふびんに思い、A君の親に「順番やルールを守ってほしい」と伝えたところ、「嫌と言えない息子に原因がある」と言われてしまい憤慨しています。「論語パパ」こと中国文献学者の山口謠司先生が、「論語」から格言を選んで現代の親の悩みに答える本連載。今回の父親へのアドバイスはいかに。
* * *
【相談者:6歳の息子を持つ30代の父親】
小学1年生の息子を持つ30代の父親です。1学期から息子が、帰り道が一緒でよく遊ぶ同級生のA君に悩まされています。A君は、はっきりいって超ワガママ。まず息子の物を欲しがります。息子のおもちゃや漫画、拾った石や草花まで……優しい息子はいつもA君に譲ってばかりです。たまに息子が貸し渋ると、A君は「〇〇(息子の名前)なんて大嫌い!」などと傷つく言葉を吐きます。A君の親は、子どもに口出ししない方針で、全く叱りません。
2学期になりA君の態度がひどくなったので、A君の親に「順番に使ったり、ルールを守ったりすることが大事、と伝えてもらえないか」と相談したところ、「譲りたくないときは、『嫌だ』と言えるように教えるべきだ。なんでも譲るから、ゴネさえすれば手に入るとAは思っている」と言われてしまいました。A君のワガママは、A君の親から来ていると感じます。改めさせる方法はないのでしょうか。
【論語パパが選んだ言葉は?】
・「朋友に数(しばしば)すれば、斯(こ)れ疏(うと)んぜらる」(里仁第四)
・「果(か)なるかな、之(こ)れを難(かた)しとする末(な)し」(憲問第十四)
【現代語訳】
・「友達付き合いもしつこくすれば、かえって嫌われることになる」
・「果断で割り切って平気でいることができれば、世の中、難しいことはないだろう」
【解説】
お答えします。友人同士の関係は、「対等」であることが重要です。嫌なことをされて「やめて」と言えない息子さんは、はっきりいって、よくないです。本当に嫌なら、はっきりと「NO」と言うことができる人に親は育てるべきです。もしかして相談者さん自身も、嫌なことをされても「やめて」と言えず、優しさこそ「善」だと思っている方ではありませんか? 「大嫌い」なんて言うA君は確かに問題ですが、それでも友達として付き合っている息子さんは、そう言われてもその子と一緒に遊ぶのが楽しいのかもしれません。
次のページへ友情の在り方について孔子の言葉は?