矢萩:たいへんかもしれませんが、お子さんがストレスなく笑顔で通える塾が見つかるまで探しまくるしかないんですよね。たとえ同じ塾であっても校舎を変えたらうまくいくパターンもありますし。

安浪:中途半端に手を打たずに納得いくものが見つかるまで探すってことですよね。

矢萩:そうですね。もし見つからないのであれば無理に塾に行かなくてもいいかもしれない。「塾なし受験」や最低限の通塾で受験できるのも、このタイプに多いですね。

安浪:中学受験の方法も多様化していますからね。4教科でない試験も増えましたし。一般的な中学受験のやり方ばかりを考えるのではなく、その他の方法も考えていって、そのなかで息子さんが取り組みやすいものを探していくのもいいかもしれませんね。

■難関校が自由奔放とは限らない

矢萩:自由奔放でマイペースな性格を鑑みて進学先を選びたい、と書かれているので、偏差値ではなく、息子さんの特性を生かした学びの場を探したい、ということですよね。学校だって難関校のほうが自由奔放でマイペースにできるかっていうと、そうでもない学校も多い。塾も同じで、大手だから教え方がうまいとか、小規模だから面倒見がいいってことはないので、学校選びも、塾選びもいったん白紙に戻して考えたほうがいいかもしれないです。

安浪:公立より私立のほうが手厚いかっていうと、そうとも限らなくて、税金が投入されている公立のほうが手厚いサポートが受けられると、喜んでいらっしゃる方も多いです。とはいえ、例えば東京の同じ区内の公立小学校でも、すぐ隣の小学校はすごく手厚いけれどこっちの小学校は全然手厚くないとか、いろいろありますね。お母様が心配していらっしゃるのは中学校の手厚さだけでなく、高校受験のこともあるのかもしれませんが。

矢萩:あとはASDに限らずADHD(注意欠如・多動症)やSLD(限局性学習症)の傾向がある場合にも言えるのですが、やりたいことや目標ができると火がついたり、他のことが耳に入らないくらい集中したりすることがあります。たまたま見に行った学校で興味あるものに出合ったとか、誰かの話を聞いたとか。「自分はこの道に行くんだ」ということが見えると、すごい馬力を発揮したりする。そうなると、その環境でストレスがあるかないかよりも自分がやりたいことのほうに集中するので、大手塾でもガンガンいけちゃうパターンもあるんです。

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