安浪:それは面白いですね。同じ子どもでも変わることもある、ということですね。
矢萩:そうです。僕はよく、「今を豊かにするためには、逆算的に考えないほうがいい」って言うじゃないですか。でもASDの特性として、逆算や合理的に考えることが得意だったりすることもあるんですよ。つまり、「これになるためにはこの学校がいいな」「そのためにはこれをやらなきゃいけないな」っていうことがカチッと見えたときにすごい集中力を発揮したりする。逆に言うと物事を柔軟に考えたり対応したりするのが苦手ということなんですけれど、こと一般的な教科入試に関してはすごく強いですね。難関校に進学するのはだいたいそのパターンです。
安浪:なるほど。自分が見つけた目標にたまたま勉強のコンテンツがハマった場合ですね。でも、全員が全員そうなるわけではないですよね。
矢萩:もちろんです。本人が嫌がっていたり、火がついてないのに無理やりやらせてもいいことないですね。大前提として伝えるのが苦手だと、いつのまにか本人のストレスが重なって、突然奇声を発したり、ものを投げたり暴れ回ったり、という話も聞きます。周りに受け入れるキャパシティーがなければ、ご家庭の努力だけで改善するのは難しいでしょう。まだ本人に中学受験へのモチベーションがなかったり、目標が見つかっていなかったりするなら、ゆったりした環境で勉強を進めておいて、今後火がついたら、そこで改めて塾を探す、といったサポートをしてあげてもいいかもしれません。
(構成/教育エディター・江口祐子)
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