うちの子はホントやる気がなくて……。そう嘆く親御さんは多いはず。しかし、通称“ビリギャル”を慶應大学に合格させたことで有名な坪田信貴先生は、「それは親御さんのふだんの言葉かけに原因があるのかもしれません」と言います。では、どうすれば子どものやる気をアップさせることができるのでしょうか。『AERA with Kids秋号』では坪田先生に取材し、親がふだん使ってしまう「言いがちワード」を、子どものやる気をアップさせる「チャレンジワード」に変換させるためのコツをうかがいました。
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「子どもがやる気になるかふてくされるか、伸びるか否かは、親から子どもへのはたらきかけで決まります」。坪田先生はこう断言します。親子とはいえ、上手にコミュニケーションをとることが何よりも大事なのです。では具体的にはどんなはたらきかけをすればよいのでしょうか? 3つのアプローチから考えた「言いがちワード」「チャレンジワード」をご紹介します。
(1)子どもが好きなものに歩み寄る
子どもが夢中なものに親も興味を持ち、それを伝えましょう。好きなスポーツ選手やアイドルをいっしょに応援する、マンガや音楽を見たり聴いたりする。どこがいいのか、その魅力を教えてもらってもいいでしょう。相手の行動に関心を持つのは相手が好きだというメッセージ。子どもがいろいろ教えてくれれば、その分、子どもの表現力や語彙力も増えていきます。意外に親もハマったりして……。
【言いがちワード】
「それのどこがいいの?」「お母さんは興味ないわ」「そんなくだらないことばっかりして」
【チャレンジワード】
「◯◯ちゃんの好きな△△のこと、お母さんにもちょっと教えて」「そんなに集められたのはどうして?」
(2)子どもの変化に敏感になる
子どもの一挙一動に好奇心を持ち、観察しましょう(監視ではありません)。そして小さな変化に気づいたらその都度口に出して伝えること。テスト結果や偏差値のように数字でわかる変化に一喜一憂するのではなく、毎日の細かな変化や成長に気づきましょう。ゼロから0.5や1になった段階で気づいて伝えるか、10になるまでスルーするかは大きな違いです。
【言いがちワード】
「前より点数下がっちゃったじゃない」「いつも同じところを間違えてばかり」「忙しいんだから後にして」
【チャレンジワード】
「前できなかったところができてるね」「最近、字がきれいになったんじゃない?」「今日、何かうれしそうだね」
(3)その子がやった結果でなく、存在自体を認める
よく“ほめて伸ばす”と言いますが、子どものdoing(行動)やhaving(属性)を理由にほめるだけになっていませんか。この場合、そうでないとダメという裏メッセージになりがちです。子どもが本当にほしいのは、being(存在―あなたがいるだけでいい)の無条件の肯定。思っていても口にする親は少ないのでは? 子どもには、以心伝心ではなく、はっきり口に出すのが一番です。
【言いがちワード】
「満点とったんだ、すごいね」「学級委員になれたんだ、すごいね」「弟にゆずってあげてさすがお兄ちゃんだね」
【チャレンジワード】
「◯◯ちゃんがいてくれてよかった」「◯◯ちゃんのこと、いつも思っているからね」「◯◯ちゃんのこと、大好きだよ」
「AERA with Kids秋号」ではそのほかにもたくさんの「言いがちワード」と「チャレンジワード」を紹介していますので、子どもへの言葉かけを見直してみるときの参考にしてみてください。(文/篠原麻子)
安浪京子,高濱正伸,tomekko

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