付属校は難関校に受験生が戻ってきた。
「昨年は安全志向で産近甲龍(京都産業大・近畿大・甲南大・龍谷大)系列が志願者を集めましたが、今年は減少。一方で、関関同立(関西学院大・関西大・同志社大・立命館大)系列全体の志願者数は昨年よりも増加しました」(森永さん)
しかし、関関同立枠内での安全志向も働いた。ほとんどの学校の志願者が増加するなかで、難関の同志社香里(大阪府寝屋川市)は1472人から1277人に、関西学院(兵庫県西宮市市)は888人から740人に減少した。
「この2校は難しくなりすぎて敬遠されたのと、レベルが高くなり受験生が他の難関校に分散したことが考えられます」(森永さん)
一方で府県をまたいで受験する受験生が増えたことで、県境に位置していたり、交通アクセスが良かったりする学校が復活。帝塚山(奈良市)が1640人から1819人に、清風(大阪市)が1611人から1743人に、明星(大阪市)が1139人から1256人に、開明(大阪市)が1530人から2038人に増加。特に開明は入試回数を増やすなど入試改革が奏功し、508人の大幅増加につながった。
■教育に特徴のある私立に注目が集まる
東海3県(愛知・三重・岐阜)は、愛知が牽引し全体を引き上げた。岐阜県と三重県は横ばい。特に名古屋市の中堅校が志願者を伸ばした。日能研東海(名古屋市)企画情報部部長の藤原康弘さんはこう話す。
「名古屋市内は今まで受験を考えていなかった層も中学受験を選ぶようになってきました。愛知は公立志向が強く“公立王国”と言われていますが、公立上位校は安定しているものの、名古屋市以外の公立高校では定員割れし2次募集している学校も珍しくありません。みんなが公立に行く時代ではなくなり、教育に特徴のある私立に注目が集まっています」(藤原さん)
愛知では、志願者で過去最高を記録した学校が続出した。
滝(愛知県江南市)は昨年の1868人から1929人に増やし2000人に迫る勢い。早期にICTに取り組み、面倒見が良いと好感を呼んだ。大学進学実績も伸びているという。
「20年ほど前は約1000人でしたから、2倍近くに増えたことになります。昨年からは2駅でスクールバスを走らせたことで利便性が増し、人気が上昇しました」(藤原さん)
星城(豊明市)が182人から282人、名古屋国際(名古屋市)が271人から309人に、名古屋経済大学高蔵(名古屋市)が200人から224人に、名古屋女子大学(名古屋市)が991人から1026人へと過去最高を記録した。
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