産業技術総合研究所計量標準総合センター長の臼田孝さんは、「重さの単位の定義を変えるような測定は科学そのものであり、その国の基礎科学力の表れといえるでしょう」と胸を張る。
以前の国際キログラム原器を使った方法だと、量れる最小の重さは「1千万分の1g」くらいだった。それが、プランク定数による定義だと、その10万分の1の「1兆分の1g」くらいまで量れるという。今のところ、これほどの精度は日常生活はもちろん、工場や研究所でも必要ない。でも、キミたちが大人になるころには、そんな精度が求められるようになるかもしれない。今回のkgの基準の見直しは、未来を先取りしたものなのだ。(文/上浪春海)
(※1)定義=言葉が表す内容や意味を明確に定めたもの。
(※2)光の速度=真空中では秒速約30万キロメートル(正確には秒速2億9979万2458メートル)。
(※3)量子力学=原子を構成する電子など、非常に小さいもののふるまいをもとに、物質やエネルギーの世界を解き明かす物理学の一分野。スマートフォンなどの電子機器は、その成果をもとにつくられている。
※月刊ジュニアエラ 2019年3月号より
ジュニアエラ 2019年 03 月号 [雑誌]
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