気象庁は1月10日、「エルニーニョ現象が続いているとみられる。今後春にかけて続く可能性が高い(80%)」と発表した。毎月話題になったニュースを子ども向けにやさしく解説してくれている、小中学生向けの月刊ニュースマガジン『ジュニアエラ』の3月号に掲載された記事を紹介する。

ラニーニャ現象(月刊ジュニアエラ2019年3月号より)
ラニーニャ現象(月刊ジュニアエラ2019年3月号より)
エルニーニョ現象(月刊ジュニアエラ2019年3月号より)
エルニーニョ現象(月刊ジュニアエラ2019年3月号より)

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「エルニーニョ現象」とは、太平洋の真ん中あたりにある日付変更線より東側の赤道付近の海面水温が平年より高くなり、その状態が1年程度続くことだ。エルニーニョ現象が起きると、東側では、より多くの水蒸気が発生して海面気圧が低くなる。すると通常は強い貿易風と呼ばれる東風が弱まる。

 すると西側に押されている暖かい海水が東に移動して、東側の水温はさらに上がる。海洋と大気が深く結びついていることがわかる。気圧や風に注目した現象を「南方振動」といい、両方合わせて「エルニーニョ・南方振動(エンソ)」と呼ばれることも多い。

 逆に、太平洋東側の海面水温が低い状態が続くのを「ラニーニャ現象」といい、それぞれ数年おきに発生する。ちなみにエルニーニョはスペイン語で「男の子」や「神の子キリスト」、ラニーニャは「女の子」を意味する。

 東側の水温が上がるエルニーニョ現象が発生すると、西側では水温が低下して積乱雲の活動が不活発となる。このため日本付近では、夏は冷夏で長梅雨、冬は西高東低の気圧配置が弱まって暖冬になりやすい。ラニーニャのときは、逆に猛暑、厳冬の傾向とされる。ただ、日本の天候は、偏西風やモンスーンなどの影響も受けるので、必ずそうなるわけではないという。

 この冬はどうだったのか。昨年11月の気温は東日本で平年よりかなり高く、北日本と沖縄・奄美も高かった。12月も沖縄・奄美でかなり高く、東日本や西日本で高かった。年末は冬型の気圧配置となり、寒気が流れ込んだため、北日本や東日本の日本海側を中心に暴風雪や大雪となった。
 ただ、1月以降も西日本などでは高いところが多い。それまで暖かかっただけに、年末年始の急な冷え込みに、思わず震えた人は多かったのではないか。(解説/朝日新聞編集委員・石井徹)

※月刊ジュニアエラ 2019年3月号より

ジュニアエラ 2019年 03 月号 [雑誌]

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AERA編集部
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