実際、世間に目を向ければもっとレベルの高い素晴らしいプレゼンができる小学生はたくさんいるでしょうし自慢できるほどのことではないと思います。でも、親バカって言われてもいい! 学校で評価されなくても、私的にはなんだかこのプレゼンを見て涙が出そうなくらいうれしかったんです。

「長男やるじゃん~! お城のプレゼン、オリジナリティーがあっておもしろかったよ!!」

 夕食を並べながら、ガラにもなくはしゃいで長男を褒めちぎった私。本当は誰よりも自信をつけさせてあげたいのに、3兄弟の中でもなかなか褒めて伸ばすということができずに頭を抱えていた「長男の隠れた長所」を見つけて一番うれしかったのは、母だったのです。

 運動神経がよく、4歳も離れているのに長男よりもスポーツができてしまう次男。口が達者で空気を読んでうまいこと可愛がられる三男。弟たちは見た目にわかりやすい長所があり、そもそも下の子は幼く見えるのでちょっとしたことでも褒められます。

 一方で、生まれつきのんびり、他者の影響を受けずゆらゆらと自分だけの世界で生きているように見える長男にはいつもヤキモキ。年齢が上がるにつれできていないことのほうにばかり目がいってしまい出るのは小言ばかり。なかなか、長男を手放しで褒めることができなくなっていました。

 よく聞く話です。誰しも生まれたときには、

「この子が大きな病気や事故に遭わずとにかく健康でさえいてくれたら何も望まない!」

 と心から思ったはずなのに。その思いは決して嘘ではなかった。心変わりしたつもりもない……それなのに、いつの間にかまわりの友達と比べ、平均データと比べ、できないことばかりが気になり弱点や欠点は埋めてあげなくてはと、先回りして備えなければ!という強迫観念に苛まれていく。

 なんとかして自信をつけさせてやろうと小さい頃からいろいろな習い事にチャレンジさせた結果、何をやってもうまくいかずかえって長男の自信を削り取る本末転倒な事態を招いてきたことは、言い訳のしようもありません。今回のプレゼンを見て、安心と喜びと一緒に湧き上がってきた強い感情は「恥」でした。

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