そんなの当たり前のように思えますが、プレゼンって実は視覚と聴覚の情報をバランスよく補って聞き手に伝えなければならないんですよね。こういうことって自然に身につくものではないし、案外教えてもらう機会も少ないもの。そんなに本を読むほうでもないし、参考にしているとしたらYouTubeくらいでしょうか。案外自分の説明を客観的に見ているんだな、と思いました。
もう一つの驚きは「全て自分の言葉」に落とし込んで説明していたこと。グーグルで検索して出てきた文献の文章をそのままコピペして、自分の感想を付け足して読み上げるだけの発表が多いなか、なぜか長男のプレゼン画面に並ぶ見出しや説明は口語体。いや、口語……で説明するのはいいんですが、
「てゆーか」「ぶっちゃけ」「って思いません?」……etc.
イキリ小学生(というキャラではないはずだが)がウケ狙いでやったのかと思い「サムイぞお前……」と若干引いて見ていたのですが、このふざけた口調のおかげでネットに転がっている説明をそのまま読み上げているのではなく、自分なりの言葉で準備したんだとわかったんです。
長男は普段から家庭内でも発言が少なく、自分から友達を誘ったりもしない。こちらから聞いてもなかなかはっきりとした自分の意見というものを言わないので、理解力や言語能力、コミュニケーション能力が育っていないのでは……と正直夫婦でかなり心配していました。もちろんプレゼンに適切な言葉遣いではないけれど、彼がインプットした情報をしっかり理解していること、そしてそれを自分の言葉で説明できる状態まで落とし込んでアウトプットしている姿に、一気に安心感が込み上げました。
このプレゼンを子ども同士で評価し合ったり、担任の先生がコメントしたりすることも特になかったようで、先生からは頑張ったことをおうちで褒めてあげてください、で終わり。つまり長男はこの学習を通じて特別評価されたわけではありませんでした。
次のページへ涙が出そうなくらいうれしかった