ポジティブとネガティブ、子どもの両方の気持ちを親がきちんとその都度受け止めてあげることで、はじめて子どもは感情を上手に表現することができるようになるのです。
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もし、実際にわが子のクラスが荒れてしまったら……。そんなとき、つい親がやってしまうのが、「先生が悪い」「騒ぎを起こした◯◯くんが悪い」と、「誰かのせい」にすることです。
「先生のスキルや経験にもばらつきがあります。ですから、『先生のやり方が悪い』と考えたくなる気持ちもよくわかります。でも、そこで先生を責めたてるだけではなにも解決しません。まずは『自分の子どもはどうあってほしいか』を考えてほしいのです」
まず、誰よりも先生が必死に努力しているということを知っておきましょう。そのうえで、親が協力できることを先生に相談するのはとても有意義なことです。
「私にも経験がありますが、保護者と先生が協力して、教育観をすり合わせ、冷静に解決法を考えることで、問題を解決できたケースがたくさんありました」
他人の責任ばかり問うのではなく、保護者から「なにか協力できることはありませんか?」と申し出れば、先生も心強く感じるはず。「どうしたら解決できるか」と考えている親は、ほかにもいるはずです。同じ思いのママ友と連れ立って行くのもいいでしょう。
また、クラスの「荒れ」には、「あの子もやっているから、僕もやっていい」といった、他者への規範意識の低さも大きく関係していると増田先生は指摘します。
「これには、日ごろから、家庭で『あの子が悪い』『あの先生が悪い』といった他責的な親のことばを耳にしていることもかなり影響しています」
親の何気ない言葉を、子どもはよく聞いています。それを聞いて子どもがどう感じているか、どう動くか。大人は心しておきたいものです。
高濱正伸,安浪京子,tomekko