環境省の調査から。全国15~79歳の男女2100人が回答(AERA6月14日号から)
環境省の調査から。全国15~79歳の男女2100人が回答(AERA6月14日号から)

 エコバッグを持っていればエコ。その考えもまた、近視眼的なのだ。「視野を広げ、トータルでエコを考えること」。その大切さを指摘するのは、日本総合研究所・創発戦略センターシニアマネジャーの村上芽さんだ。

■個人のささやかな行動

 有料化でエコバッグ持参が増えることは、プラスチックごみに興味を持つ「きっかけ」として悪くない。ただ、それだけでエコを達成しようと思う必要もないとして、こう続ける。

「レジ袋をもらい続けている人も、『私はこういう理由で、最低何枚か生活でごみ袋が必要なので、もらいます。一方で車の利用を減らし自転車にしたり、別のエコの努力をします』など、『トータルでエコを意識できているか』が大事です。そこを見直し、意識を広げるきっかけになるなら、モヤモヤするのはとてもいいことだと思います」

 すっきりとした「正解」はなかなか出ない。ただ確かなことは、いまがプラスチック削減に向けた大切な岐路だということだ。作家で生活史研究家の阿古真理さん(52)は言う。

「有料化からの1年は、期せずしてコロナ禍と重なりました。職場にも行けず、人とも会えず、結果、自分の生活にいままで以上に関心を向けるようになっています。感染の危機も身近にあり、一人ひとりのささやかな行動が大事だということをこれほど身に染みて認識しているときはありません。いまは本当にチャンスだと思います」

 もうしばらく、レジ袋にモヤモヤしてみますか!(編集部・小長光哲郎)

※AERA 2021年6月14日号より抜粋

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小長光哲郎

小長光哲郎

ライター/AERA編集部 1966年、福岡県北九州市生まれ。月刊誌などの編集者を経て、2019年よりAERA編集部

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