コロンビアのFWラファエル・ボレは後半16分、ゴール前のこぼれ球に反応し、オーバーヘッドで勝ち越しゴールを決める(写真:ロイター/アフロ)
コロンビアのFWラファエル・ボレは後半16分、ゴール前のこぼれ球に反応し、オーバーヘッドで勝ち越しゴールを決める(写真:ロイター/アフロ)

 サッカーの日本代表は次のW杯に向けた最初の強化試合で1敗1分けに終わった。3月下旬のキリンチャレンジカップ。多くの課題を抱えてのスタートとなった。AERA 2023年4月10日号より紹介する。

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 3月シリーズで手にした収穫と課題の数を比べたら、課題のほうが多いだろう。率直に言って試合内容は低調だった。理由は、はっきりしている。チームが新戦術にトライしたからだ。

 16強入りした昨年のカタール・ワールドカップ(W杯)において、森保一監督(54)はボール保持率を高め、試合をコントロールできるようにならなければ、上を目指せないと感じたという。選手も大会後に同様の考えを口にしており、それがそのまま2026年の北中米W杯で上位進出を狙うチームの大テーマになった。

「W杯で課題になったボールを握っていく攻撃(ビルドアップ)を仕掛けられるように選手たちにはトライしてほしい。実はこれまでもやってきましたが、レベルはアップしたものの、W杯のトップ基準の中ではまだまだ力をつけなければいけない」

 24日のウルグアイ戦(東京・国立競技場)の前日会見で、森保監督はボール保持については継続的に目指してきたものだと説明した。それでも世界のトップと戦う水準には達していなかったということだ。

■SBが内に入る新戦術

 果たしてチームは、サイドバック(SB)が内側に入り込むビルドアップという新戦術にトライすることになった。

 大づかみにメリットを記すなら、まずSBが内側に入ることによりピッチ中央で数的優位な状況を作りやすいという点がある。それに加えて相手のマーカーが中央に引っ張られるためスペースが空き、センターバックからサイドアタッカーへのパスを通しやすいという面もある。

「SBがどうやって攻撃に関わるか、またウィングの幅をどう生かすかという攻撃の形にトライしようと、名波(浩)コーチ(50)を中心に取り組んでくれました」

 森保監督は、今回の活動からスタッフに加わった名波コーチにカタールW杯の日本の戦いぶりについて聞いていた。そこでボールが外周りで動くことが多く、中央から攻めていくケースが少ないことを指摘されたという。森保監督も感じていたことであり、今回の活動で新戦術を採用するきっかけになった。

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