長山さんの自宅の仕事場の様子。手描きで描いたものをスキャンで取り込み、デザインする。「70歳にしては頑張っているほうじゃないかと思います」(写真/長山さん提供)
長山さんの自宅の仕事場の様子。手描きで描いたものをスキャンで取り込み、デザインする。「70歳にしては頑張っているほうじゃないかと思います」(写真/長山さん提供)

 光熱費や食料品の値上げラッシュ。物価高に襲われるこんな時代だからこそ、収入の「壁」を突破したい。鍵は、強みとなるスキルのマイクロ化だ。AERA 2023年3月20日号の記事を紹介する。

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 実践的なリスキリングの場であり、第2の収入源としての副業の場として注目されているのが、「自分が得意なことや好きなこと」を売り買いできるウェブ上のスキル販売サイトだ。

 スキルマーケット「ココナラ」は会員登録数が300万人超。出品者だけでも40万人以上いる。コロナ禍でオンライン上のやりとりが急速に進んだこともあり、この2年ほどで出品も購入も大幅に増えたという。

 ECサイトのような作りで、「イラスト・漫画」「動画・アニメーション・撮影」「悩み相談・恋愛相談・話し相手」といった15のカテゴリーがある。「イラスト・漫画」のカテゴリーの下にはさらに「LINEスタンプ作成」「キャラクターモデリング」のように細分化。こうしたサブカテゴリーが450以上ある。

 一つひとつの出品を見ていくと、その内容はさらに多岐にわたる。たとえば「似顔絵作成」では、「デフォルメ2頭身似顔絵キャラ作成します」(6千円)、「アメリカンポップな似顔絵描きます」(3千円)などの商品が出品されているといった具合だ。

企業も「スキル」に期待

「もともと持っている業界知識やスキルなどのベースを生かしつつ、自分の好きなことで出品している方が多い印象です。たとえば、勤め先では管理職になり現場を離れてしまったため、現場感や最新のスキルを養う目的で使っているユーザーさんもいます」

 と同社広報担当の柳澤芙美さんは説明する。さらに、リスキリングで身につけたスキルも副業で試してみれば、力試しの場になるだろう。

 では、どんなスキルが収入に繋がりやすいのだろうか。柳澤さんは、キャラクターやアバターを用いて動画配信をするバーチャルYouTuber、いわゆるVTuberに注目する。

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「筆文字デザイナー」になる意外なきっかけ