AERA2023年2月13日号より
AERA2023年2月13日号より

 在宅勤務に慣れたものの、就業時間外の連絡に対応してしまい、休んだ気がしない。休んでも疲れが取れない。そんな休みベタの人が、うまく休むにはどうすればいいのだろうか。AERA 2023年2月13日号の記事を紹介する。

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 スマホやタブレットの登場や、コロナ禍で広がったテレワークによって、24時間仕事から離れられなくなった、という人もいるだろう。それにしても、なぜここまで頑張ってしまうのだろう。

「疲れても休めないのは、人間の宿命」と話すのは産業医の大室正志医師だ。人間は疲れたと感じにくく、徹夜で働いても、達成感や使命感を覚えると、疲れが吹き飛ぶことがある。

「前頭前野が他の動物より大きい人間は、脳が疲れた信号を出しても、達成感があると、疲労の信号をかき消してしまうことがあります」(大室医師)

 情報処理量も増えている。

「何十万年も前から人間のスペックは変わっていません。スマホで言うと、重いアプリをどんどん入れているということ。人によっては不具合を生じやすいのは当然です。使命感の副作用を理解して、先回りして休むことが大事だと思います」(同)

 在宅勤務が広がる中、就業時間外のメールやチャットなどには対応しない「つながらない権利」が注目されている。フランスでは17年に施行された改正労働法でこの権利が明記された。この権利に詳しい青山学院大学法学部の細川良教授は言う。

「フランスのある調査では、バカンスの間、ネット接続する管理職のうち、8割がストレスだと答えています」

 ただ、仕事によっては、つながりをばっさり切れない人もいるだろう。でも「この日だけは、きっちり休みたいので連絡しないで」と宣言する日があってもいい、と細川教授は言う。

「例えば、休日を2段階で考えるのはどうでしょう。普段は『ちょっとした業務連絡ならOKな日』だけど、子どもの授業参観は仕事のことを考えないように『絶対お休みデー』とするなどもありです」

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