峯岸みなみ(撮影/写真映像部・加藤夏子)
峯岸みなみ(撮影/写真映像部・加藤夏子)

■「神7」に抱いた劣等感

 アイドルとしての目まぐるしい日々。まだ10代だった峯岸さんが楽しみにしていたのが、お酒の解禁だった。

 当時から仲の良いメンバーは峯岸さんより一つ年上で、すでにお酒を楽しんでいた。その姿に憧れや妄想が募り、いつからか二十歳の誕生日へのカウントダウンをはじめていた。

「早くお酒を飲んでみたい」

「みんなの仲間入りをしたい」

 そんな感情が、二十歳になった瞬間に弾けたという。

「飲み会というものに行ってみたいという思いが強すぎたんです。みんなと同時にスタートを切れなかったこともあって、爆発的にお酒を飲むようになってしまいました」

 飲みの場に行けばシャンパンがいくつも空き、一気飲みもした。おいしいからというよりは、派手に飲んで酔っ払う感覚が楽しかった。お酒で仕事のストレスやモヤモヤが一時的に発散できた気がした。

 そんな峯岸さんを心配するメンバーも当然いた。グループの総監督だった高橋みなみさんから、「飲み方が怖い」「知らない人と仲良くなるのは危ない」と怒られたこともある。

 だが、その声は届かない時期だったと振り返る。

「神7に選ばれていないとか、他のメンバーへの劣等感があった。やっとお酒を飲めるようになって、その世界で楽しく遊んでくれる友達もできて、そこにいればそうした不安から解放されるような気がしたんです」

 飲んだ次の日に友達から見せられた動画や写真に、「だらーんとなった自分」の姿があったのは一度や二度ではない。何も覚えておらず不安になったが、100%酔っ払う様子を最初に見せてしまったため、そこに達さないと盛り上がっていないと思われてしまうかもしれない。二十歳からの1年間は、「エンタメとして」飲みまくったという。

■週5で記憶を飛ばす

 だが、このときAKB48の活躍は目覚ましく、外で飲めば常に誰かから指をさされる。忙しさも相まって、物理的に飲めない時間も多かった。

 飲み方が加速したのは、お酒を解禁して2カ月後に恋愛スキャンダルが報じられてからだ。峯岸さんは研究生へと降格。頭を丸刈りにしての謝罪はAKB48史上に残る騒動になった。

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