日本で、世界で、オミクロンの新しい亜系統が続々見つかっている
日本で、世界で、オミクロンの新しい亜系統が続々見つかっている

■主流の候補が次々

 XBB.1.5は、免疫回避力だけでなく、ヒトの細胞への結合力も強いため、米国を中心に主流の亜系統になりつつあるという。現状を踏まえ、研究チームはこう指摘する。

「ヒトの細胞への結合力の強さが感染の拡大に関係していることはわかりつつあるが、それが症状の重症度に影響するかどうかはまだ分かっていない。性急に調べる必要がある」

 ヒトの細胞表面にあるACE2への結合力がXBB.1.5よりも強いことがわかっているのはBA.2.75だ。これは、XBBの元になった亜系統の祖先でもある。

 英国やニュージーランドなどでは、BA.2.75の遺伝子に変異が起き、BA.2.75から直に派生した亜系統CH.1.1が増えている。

 英HSAによると、英国で22年12月26日~23年1月1日に解析されたウイルスのうち51.3%をBQ.1が占め、次いで多かったのがCH.1.1で、19.5%を占めた。現時点ではCH.1.1はXBB.1.5よりは感染拡大速度が遅いとみられるものの、ワクチンの効果や重症化率はまだ不明だ。

 国内で多数派になりつつあるBQ.1系統の、次はどの亜系統が主流になるのか。XBB.1.5を含め候補が次々と登場していて目が離せない。(科学ジャーナリスト・大岩ゆり)

AERA 2023年1月30日号より抜粋