積水ハウスは毎年「男性育休フォーラム」を開いている。働き方の有識者を招いてディスカッションした(写真:積水ハウス提供)
積水ハウスは毎年「男性育休フォーラム」を開いている。働き方の有識者を招いてディスカッションした(写真:積水ハウス提供)

 長引くコロナ禍によって、学生の企業選びのポイントが変化している。就活生が重視するのは「安心して働けるかどうか」だ。AERA 2022年10月24日号の記事を紹介する。

【表】人気101社が採用したい大学は? 人気企業就職者数はこちら

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 就職情報大手ディスコの上席研究員・武井房子さんは、

「いまの学生にとって、安定や福利厚生はパワーワードです」

 と語る。

 マイナビが今年3月、学生5千人にアンケートを取ったところ、「企業選びのポイント」は、コロナ禍の影響を受け始めた21年3月卒以降「安定している」が増加し、23年3月卒では43.9%に。09年3月卒の21%台から大幅に上昇した。

 マイナビ編集長の高橋誠人さんは言う。

「コロナが始まった頃、採用を中止・縮小する企業が相次ぎ、少しでも安定性を求める気持ちが高まっています。ただ、学生が言う『安定』は、私たちが想像するようなものとは少し違います。経営の基盤が安定している企業や官公庁というより、『職場で安心して働けるか』という基準で見ているようです」

 具体的に企業に対して「安定性」を感じるポイントを学生に聞いたところ(複数回答)、「福利厚生が充実しているかどうか」が最多で53.3%。「最もあてはまるもの」一つに限定すると「安心して働けるかどうか」が最多だった。

 23年3月卒のマイナビ・日経の大学生就職企業人気ランキングの文系部門1位は、東京海上日動火災保険だ。女性社員が半数を占める同社は今年、同意なき転勤の撤廃を検討し、地方でのエリア総合職の採用を強化している。同社に内定した早稲田大学4年の男性は言う。

「一番魅力を感じたのは『人』。とても信頼できる、目線が高い社員さんがいたことが決め手です。コロナ禍で人とのコミュニケーションの大切さをより感じ、いい人間関係を築くことが大事だと思いました」

 積水ハウスも福利厚生の充実で人気の企業だ。「男性育休」を打ち出してから4年、育休の取得期限を迎えた男性1452人全員が1カ月以上の育休を取得した。それまでは平均2日間だった同社は、独自で「男性育休白書」を作成。男性育休を推奨する社内外のイベントも開いてきた。

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