定位置のないものばかりで雑然とするリビング/ビフォー
定位置のないものばかりで雑然とするリビング/ビフォー

  5000件に及ぶ片づけ相談の経験と心理学をもとに作り上げたオリジナルメソッドで、汚部屋に悩む女性たちの「片づけの習慣化」をサポートする西崎彩智(にしざき・さち)さん。募集のたびに満員御礼の講座「家庭力アッププロジェクト®」を主宰する彼女が、片づけられない女性たちのヨモヤマ話や奮闘記を交えながら、リバウンドしない片づけの考え方をお伝えします。

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case.26 家族への依存をやめて自分の将来を描けるように

夫+子ども3人/専業主婦

「専業主婦」という枠にこだわり過ぎると、その枠から外が見えなくなることがあります。家族のために毎日家事をこなし、生活に不自由はしていなくても、何かモヤモヤとする気持ちがある。そういう女性は多いのではないでしょうか。

 かつて専業主婦を担っていた私も、当時は同じような気持ちをずっと抱えていました。実は、それを解消する答えが枠の外にあるというのに、なかなか気づけません。

 3人の子どもたちと夫の5人暮らしで専業主婦のリコさんも、同じく正体のわからないモヤモヤを抱えていました。

「夫は仕事、私は家のこと、とはっきり役割分担をしています。家事に育児に、やることはたくさんある。時間に追われるばかりで、なんともいえない不安な気持ちと向き合う余裕もありませんでした」

 自由な時間をあまり持てずにいるのに、“時間に余裕のある専業主婦”と思われることもあり、「専業主婦って何だろう?」と疑問を抱く日々でした。さらに、がんばっているはずの家事でもうまくいかないことがありました。それが、片づけ。

「夫は片づけが得意。頭の整理にもなるし、可能性を広げるチャンスにもなるからと、子どもたちにも片づけをさせるように言われていました。そのたびに、専業主婦としての仕事ができていないと責められているような気持ちにもなりました。それでも、私は子どもの好奇心ややりたいことを伸ばす方が大切だと思い、おもちゃや絵本を子どもの手の届くところに広げっぱなしにしていたんです」

 でも、3人の子どもたちが大きくなるにつれて、それぞれの物が増えていきます。家の中が散らかったら自分なりに片づけるものの、すぐにリバウンド。自己流の片づけの限界を感じ、このままでは子どもも片づけられない人になってしまうかもしれないと危機感を覚えるようになってきました。

 思えば、実家も物が多い家。母の死をきっかけに、家に物が多いことは子どもたちに負担をかけることなのだと実感しました。早めの終活のつもりで家の中を整理して、子どもたちにも片づけの習慣をつけさせたいと思い、家庭力アッププロジェクトへの参加を決意します。

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西崎彩智

西崎彩智

西崎彩智(にしざき・さち)/1967年生まれ。お片づけ習慣化コンサルタント、Homeport 代表取締役。片づけ・自分の人生・家族間コミュニケーションを軸に、ママたちが自分らしくご機嫌な毎日を送るための「家庭力アッププロジェクト?」や、子どもたちが片づけを通して”生きる力”を養える「親子deお片づけ」を主宰。NHKカルチャー講師。「片づけを教育に」と学校、塾等で講演・授業を展開中。テレビ、ラジオ出演ほか、メディア掲載多数。

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「申し訳ない」止まらない涙