元朝日新聞記者 稲垣えみ子
元朝日新聞記者 稲垣えみ子

 元朝日新聞記者でアフロヘア-がトレードマークの稲垣えみ子さんが「AERA」で連載する「アフロ画報」をお届けします。50歳を過ぎ、思い切って早期退職。新たな生活へと飛び出した日々に起こる出来事から、人とのふれあい、思い出などをつづります。

【写真】稲垣さんの必死の練習の跡が窺えるぼろぼろの楽譜がこちら

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『老後とピアノ』を出版したご縁で楽器店のイベントに呼んで頂き、40年ぶりのレッスンにどハマりした怒涛の日々について楽しくトークさせて頂いたんだが、実はこの仕事をお引き受けした理由はトーク云々ではなく、先生と連弾という「ザ・夢」としか思えないことを何とかして実現したかったからなのであった。

 だって私の先生、ピアニストなんですよ! しかもイケメン! その先生と、動かぬ指・働く脳とエンドレスに格闘を続ける、要するにやる気はめちゃあるんだがちっとも上達せぬ中年アフロが連弾! 神をも恐れぬ行為とはこのことだ。と思いつつ、イベントやるなら連弾しましょうよ~という、おそらくはうっかり口を滑らせた先生の一言を私は聞き逃さず、その機会を虎視眈眈と狙っていたのであった。そして楽器店とご縁ができるや「アフロとイケメンの連弾」というレアすぎる企画を猛プッシュ。ちゃっかり実現の運びとなったのである。

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稲垣えみ子

稲垣えみ子

稲垣えみ子(いながき・えみこ)/1965年生まれ。元朝日新聞記者。超節電生活。近著2冊『アフロえみ子の四季の食卓』(マガジンハウス)、『人生はどこでもドア リヨンの14日間』(東洋経済新報社)を刊行

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