AERA4月18日号から
AERA4月18日号から

 英HSAやデンマークの国立血清学研究所によると、感染した場合の重症化率は、BA.2もBA.1と差がないという。

 欧米では新規感染者数が日本よりも多くても、比較的重症化リスクの低いオミクロン株の流行を受け、水際対策を含めた感染対策を緩和する国が増えている。

 そんな中、英国ではBA.2よりもさらに感染の広がり方が速い系統が見つかっている。BA.1とBA.2の遺伝情報の一部が組み換わったハイブリッドで、国際的に「XE」と分類されている。1月19日に初めて見つかって以来、3月22日までに英国内で637件の報告があった。微増傾向にあり、英HSAによると、3月15日現在、BA.2よりも1.098倍、感染の広がる速度が速いと推計できるという。

重症化予防はワクチン

 XEの重症化リスクはまだ不明だが、既存のオミクロン株程度の場合、より感染が増えやすくても感染対策の緩和は続くと考えられる。

 社会全体の感染対策が緩和される中で注意が必要なのは、重症化リスクは個人により差が大きいという点だ。高齢だったり基礎疾患があったり、高度の肥満だったり、抗がん剤や免疫抑制剤を飲んでいるなどして免疫が落ちた状態だったりする人は、オミクロン株など重症化リスクの比較的低いウイルスへの感染でも、重症化するリスクは高い。

 重症化を防ぐ既存の最も効果的な方法はワクチン接種だ。英HSAのジェニー・ハリス長官は4月1日、さらなる感染対策の緩和が始まった英国で、こう呼びかけた。

「ワクチン接種は、重症化や入院を防ぐ最良の方法であることに変わりはありません」(科学ジャーナリスト・大岩ゆり)

※AERA 2022年4月18日号より抜粋