日本の私学を代表する早稲田大学(左)と慶應義塾大学(撮影/写真部・戸嶋日菜乃、張溢文)
日本の私学を代表する早稲田大学(左)と慶應義塾大学(撮影/写真部・戸嶋日菜乃、張溢文)

 日本の私学を代表する早稲田大学と慶應義塾大学。永遠のライバルと言われる両校の総長・塾長が、少子化時代に向けて連携を深めていくと語り合った。AERA 2021年12月13日号は「早稲田と慶應」特集。

【写真】早稲田大学の田中愛治総長と慶應義塾大学の伊藤公平塾長

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 早稲田大学の田中愛治総長(70)と慶應義塾大学の伊藤公平塾長(56)の対談は、ともに体育会出身者として経験した「早慶戦」にも及んだ。私学両トップのライバル物語から、今後の連携の可能性や未来の教育まで話は熱を帯びていった(11月24日にオンラインで実施)。

──こうした対談は過去にもありますか。

田中:慶應義塾大学塾長との対談は、私が(2018年に)総長に就任してから初めてです。でも、かなり頻繁にお話はしていて、昨日も秩父宮ラグビー場での早慶戦でお会いしました。

伊藤:負けたのは悔しいです(慶應33‐40早稲田)。早慶戦だけには負けたくないのに連敗でした。対抗戦の順位が上の早稲田が早慶戦では負けられないという意識で練習している報道を見て、早慶戦はやはり特別だと思いました。

田中:早慶戦は燃えますね。私が早稲田の学生だった頃、体育会の空手部に入っていて、4年のときは全日本大学選手権(団体戦)で1回戦負けだったんですが、早慶戦では全日本で準優勝した慶應に勝ちました。早慶戦は試合前の予想とひっくり返ることがよくあります。

■誰にでも居場所がある

──両大学は、永遠のライバルとも言われます。自分の大学が誇れる特長はなんでしょう。

田中:三つあります。まずは国際化が進んでいること。19年度は海外から8350人の留学生を受け入れ、早稲田からは4580人を送り出しました。

 もう一つは雑草的な草の根の強さ。縁の下の力持ちになるような人間が多いです。創立者の大隈重信は「一身一家、一国の為のみならず、進んで世界に貢献する抱負がなければならぬ」と言いました。私は、必ずしも国連や外資系で働くだけじゃなく、働く場所や規模を問わず、常に国際的な視野に立ち、人類社会に何らかの形で貢献することを考えていればグローバルリーダーだと言っています。

 あと一つはダイバーシティー(多様性)とインクルージョン(包摂)。誰にでも居場所があるというのが早稲田の特長です。

伊藤:慶應義塾の良さは仲がいいことです。(創設者の)福澤諭吉先生がおっしゃった「独立自尊」という基本精神がありますが、自分がしっかりと独立することによって、自他の尊厳を守ることができる。つまり仲良くやっていけるということです。

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