クラフトコーラ界の旗手「伊良コーラ 総本店下落合」では、パウチにコーラシロップと氷、炭酸水を入れたコーラが500円で楽しめる(撮影/写真部・加藤夏子)
クラフトコーラ界の旗手「伊良コーラ 総本店下落合」では、パウチにコーラシロップと氷、炭酸水を入れたコーラが500円で楽しめる(撮影/写真部・加藤夏子)

 コーラの世界にも「クラフト」の波が到来した。オリジナルのスパイスを配合し、自分だけの味をつくる。そんなクラフトコーラの世界にハマったら──。AERA 2021年12月6日号の記事を紹介する。

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 クラフトビールに始まって、クラフトジン、クラフトサケなど、アルコールの世界で広まる“クラフトブーム”。小規模な工場でつくられる個性的な味わいのアルコール飲料を指すが、このクラフトブームの波が、今度はノンアルコールドリンクの世界で広がろうとしている。

 考えてみれば、製造免許などつくって売るにはハードルが高いアルコール飲料に比べて、ノンアルコールのドリンクなら、小規模な施設で作れる。クラフトコーヒー、クラフトソーダなど、さまざまなドリンクの“クラフトもの”が生まれるようになった。

 そんなクラフトドリンクのなかで、もっとも大きい波を起こしているのが、クラフトコーラだ。これまでコーラといえば、コカ・コーラとペプシ・コーラが2大ブランド。というか、ほかにコーラのブランドがあるなんて、考えてみたこともない人がほとんどだろう。

 ところが最近、スーパーの店頭でも、見慣れないコーラのボトルを見ることが増えてきた。

店頭でパウチに入れて提供するスタイル。そのまま飲めるボトル商品や希釈用のシロップも販売している(撮影/写真部・加藤夏子)
店頭でパウチに入れて提供するスタイル。そのまま飲めるボトル商品や希釈用のシロップも販売している(撮影/写真部・加藤夏子)

複雑で大人っぽい味

 スーパーやネットショップをざっと回っただけでも、さまざまな種類が集まった。そのままボトルを冷やして飲めるストレートタイプと、好みの量の炭酸や氷などを加えて飲むシロップタイプがある。あれこれ試してみると、一口にクラフトコーラといっても、味はさまざまだ。

 スパイスに凝ったまさに「飲むカレー」といえるクラフトコーラもあれば、地場の柑橘(かんきつ)類を加えた「地コーラ」的なクラフトコーラもある。

 自分にとってコーラといえば、ポテトチップスなどのスナック菓子を、しょっぱさを我慢できるギリギリまで口に放り込み、最後にシュワシュワな甘さで中和して、「ああ、幸せ……」的な、ちょっとイケないおいしさが魅力だった。あれはあれで人生に絶対必要なドリンクだが、クラフトものは味わいが複雑で大人っぽい。今までのコーラとは別物になっているものが多い。

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