なぜ人々は野党・マスコミ批判のSNSアカウントに惹かれる? マスメディアに代わる“疑似環境”を求めるユーザーたち

2021/11/09 08:00

Dappiのプロフィル欄には「日本が大好きです。偏向報道をするマスコミは嫌いです」と書かれている
Dappiのプロフィル欄には「日本が大好きです。偏向報道をするマスコミは嫌いです」と書かれている

 野党やマスコミ批判を繰り返す「Dappi」と名乗るツイッターアカウント。持ち主とされる法人の取引先に、自民党があった。その関係は──。AERA 2021年11月15日号の記事から。

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「日本が大好きです。偏向報道をするマスコミは嫌いです」

 プロフィル欄にこう記すツイッターのアカウントが注目を集めている。「Dappi」と名乗り、フォロワー数は17万超。このアカウントの運営に関わるとされる法人の主要取引先に、自民党があるとの一部報道が出た。政治資金収支報告書によると、過去には党支部などからウェブサイト制作などを受注していたという。ツイッターでは「黒幕はやっぱり自民党だった」などとする批判とともに、「なぜもっと追及しないのか」と主要メディアの報道が限定的だったことへのいら立ちも目立つ。

 総選挙の結果は自民党や日本維新の会を含む「保守勢力の圧勝」だった。この背景の一つに自民党のメディア戦略がある、と指摘するのは成蹊大学の伊藤昌亮教授(メディア論)だ。

 伊藤教授はいま行われているのは「疑似環境」の作り替えだと話す。疑似環境とは、米国のジャーナリスト、ウォルター・リップマンが著書『世論』で唱えた概念だ。私たちは遠くで起きた出来事を直接確認できない。そのため、他者からの情報に頼ることになる。

■この方がしっくりくる

「疑似環境とは遠くで起きた出来事を一つのパッケージ(ニュース)として社会に提供することです。その役割はメディアが担っています」(伊藤教授)

 これまでテレビや新聞などに限定されていた疑似環境を作る役割が、今はソーシャルメディアと一体になって担っている。デジタルネイティブの若年層に限らず、ネットやSNSの情報に偏る傾向があることを念頭に、伊藤教授はこう話す。

「特権的なマスメディアに対する嫌悪から、マスメディアが発信する疑似環境を拒絶し、別の疑似環境を信じたい人たちのニーズにマッチしたのが、まとめサイトやDappiです。この方がしっくりくる、という人たちがウェブ上の疑似環境の心地よさにひかれています」

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