「オフィスおかん仕送り便」は「内定式のオンライン懇親会(写真)など、社内のちょっとしたイベントでのスポット利用も増えています」とOKAN代表の沢木恵太さん。離れていても同じ食事を通じて会話のきっかけができると好評だ(OKAN提供)
「オフィスおかん仕送り便」は「内定式のオンライン懇親会(写真)など、社内のちょっとしたイベントでのスポット利用も増えています」とOKAN代表の沢木恵太さん。離れていても同じ食事を通じて会話のきっかけができると好評だ(OKAN提供)

 テレワークが増えるなか、旧来の「社食」を従業員が活用できないケースが出てきた。より柔軟な形で、従業員のおなかも健康も満たすサービスが広がり始めている。AERA2021年10月25日号の記事を紹介する。

【写真】まるで実家からの“仕送り”?「オフィスおかん仕送り便」の箱の中身がこちら

*  *  *

「オフィスおかん」は職場にお総菜の入った冷蔵庫を設置するタイプの食事補助サービスだ。24時間利用可能な「置くだけ社食」として2014年のサービス開始以降、全国で3千を超える事業所が導入してきた。

「テレワークでオフィスにいない社員が増えた」という導入企業の声を受けて、昨年5月から新たに「オフィスおかん仕送り便」を開始した。

 実家からの“仕送り”のように、箱に入ったお総菜セットが従業員の自宅に届けられる。1件3980円。豚バラ大根煮、さばの煮付け、牛蒡(ごぼう)とひじきのサラダなど、100グラムほどの主菜・副菜が10品含まれる。

 賞味期限が比較的長いチルド保存のお総菜なので、冷蔵庫に常備しておけば、自宅での家族の食事に1品追加する、などの使い方もできる。

「オフィスおかん仕送り便」(OKAN提供)
「オフィスおかん仕送り便」(OKAN提供)

■自由度高い電子マネー

 従来、食事補助の福利厚生は企業側にとって離職防止、従業員側にとって健康的な生活習慣の維持などのメリットがあったが、ここに家事負担の軽減が加わったわけだ。

 物理的な食事の提供のほか、全国の飲食店やコンビニで利用できる電子マネー型の食事補助サービスも注目を浴びている。「チケットレストラン」を展開するエデンレッドジャパンへの問い合わせはコロナ前後で10倍に増えたという。

 電気通信工事業のクイックイタレート(東京都足立区)では先月からチケットレストランを導入。従業員の5人はパート勤務の事務職で、事務所に通勤する人もいればフルリモートで働く人もいる。働き方が混在する中で、居心地のいい働き方をどう作り上げていくか模索していたところ、従業員側から提案されたのが同サービスだった。

 子連れで出勤したり、緊急連絡時の電話対応が発生したりすることもある。ちょっと一息つきたいときに、コンビニで飲み物やデザートも買える。

次のページ