変化の激しい今の時代、「学ぶこと」は子どもや学生だけではなく、あらゆる年代の人に必要なことです。むしろ、充実した人生を送るためには、「学びは必須」、と言っても過言ではないでしょう。
【写真】スタンフォード大学・オンラインハイスクールの日本人校長、星友啓さん
しかし、正しい学び方を知らないと効果が半減してしまうのも事実。現在の教育学の最前線では、これまでの伝統的な勉強法の良し悪しが見直されたり、新しい勉強法が開発されたりしています。
そこで、全米でもトップ校として認知されている「スタンフォード大・オンラインハイスクール」の日本人校長、星友啓さんに「学びの最新科学」の中からあらゆる年代に使える勉強法を3つ挙げてもらいました。教える側の人たちにとってもぜひ知っておきたい知識です。
* * *
1.話を聞きながらのノート取りはワーキングメモリがパンクする!?
私たちの脳は聴覚による言語認識、視覚による空間認識など常に大量の情報を処理し、実行に移しています。これらが無意識のうちにできるのは、脳の「ワーキングメモリ」の力によるものです。しかし、一般に人間のワーキングメモリは思った以上にキャパシティが小さいのです。以前は私たちが意識下に同時に留めておけるものの個数は7つと言われていましたが、最近の研究では3つから5つぐらいが限界だとされています。
それを考えると、授業中やプレゼン中のノート取りは、ワーキングメモリへの負荷を非常に大きくすることが知られています。
話を聞いて、どの部分を書き留めるか決め、ノートの適切な位置に文字を書き、その最中にも耳は話を聞き取る。脳のワーキングメモリの小さなキャパシティはパンク寸前です。授業をする教師側も、このワーキングメモリの限界に十分注意して授業をするべきでしょう。穴埋めプリントを配ってノート取りの負担を減らしたり、話を聞くのに集中する時間を交互に設けたりする工夫が必要です。
また、「しばらく聞いた後で、内容を一気に書き出す」という「メリハリ式」は脳科学的に非常に効果が高いことがわかっています。