本来はまれな病気ですが、スマホの普及が進んだ2015年ごろから、同センターに内斜視の発症や悪化の患者さんが増えてきたそうです。その患者さんの多くは、毎日ICT機器を3~4時間も使用しており、他に内斜視になる要因は見つかりませんでした。

「小さい子どもほどICT機器の影響を強く受けます。小学生は、かつて治療した内斜視が悪化する ケースが多いのですが、新たに発症する場合もあります」

 内斜視の治療法について、仁科先生はこう説明します。

「軽度であれば、ICT機器の使 用を1日30分に制限することで改善することがあります。それが難しい場合は、光を屈折させるプリズム眼鏡の装用や、目の筋肉を調整する手術が必要になります。12歳以上は、目の筋肉への注射治療も選択肢に入ります」

【目とICT機器のじょうずな付き合い方】

(1)目の休憩タイムを決める。
 ICT機器を30分使用したら、5~10分は休憩を。意識的に遠くを見たり、瞬きをしたり、目を閉じたりしましょう。

(2)大きい画面で距離を離す。
 画面が大きいほど、目から離して使用できます。スマホの動画をテレビに映して視聴するのも一法です。

(3)正しい姿勢と、画面の角度に注意する。
 横たわった姿勢でスマホを操作すると、片目に負担がかかります。正しい姿勢をとり、画面が反射しない工夫を。
・目線は画面と垂直にして、30センチ以上離す。
・角度と画面の明るさを調整する。
・机はヒジが直角に、イスはヒザが直角になる高さ。
・椅子には深く座り、両足をつける。
(日本眼科医会「ギガっこ デジたん!」から)

(4)外遊びを増やして、遠くを見る。
 小さいうちに外で遠くを見たり、目を動かしたりすると目の機能がよく発達。近視の進行も抑えられます。

(5)眼科を受診し、正しい眼鏡を着ける。
 眼鏡は医療機器です。眼科店の簡易的な検眼だけでは、正しく視力が矯正されないこともあります。

(ライター・越膳綾子)

※「AERA with Kids」2021年夏号より一部抜粋

AERA with Kids (アエラ ウィズ キッズ) 2021年 夏号 [雑誌]

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越膳綾子
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