秋田の洋上風力、地元が部品製造・運営で「脱下請け」 風が生む地域の新産業 (1/3) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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秋田の洋上風力、地元が部品製造・運営で「脱下請け」 風が生む地域の新産業

菅沼栄一郎AERA
秋田県潟上市のウインドファーム。この向かいの洋上に、これから「着床式」風車が並び、さらにその沖に「浮体式」風車が回ることになる(写真:ウェンティ・ジャパン提供)

秋田県潟上市のウインドファーム。この向かいの洋上に、これから「着床式」風車が並び、さらにその沖に「浮体式」風車が回ることになる(写真:ウェンティ・ジャパン提供)

 秋田での洋上風力発電事業に海外や日本の大手企業のほか、地元企業も参入をめざす。米国のゼネラル・エレクトリック社と東芝の連携を弾みに新産業の創出を狙う。AERA 2021年5月31日号の記事紹介。

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 秋田県中央部の潟上(かたがみ)海岸に、22基の風車が回る。

 松尾到さん(29)は5月中旬、そのうちの一基のタービン(風車)を止めた。高さ85メートルの位置にある、発電機などを収納するナセルに上り、ギアボックスに異常がないかなどをチェックした。2人1組の作業だ。

 晴れた日には大海原の向こうに男鹿半島が浮かぶ。南にはなお雪が残る鳥海山。命綱を伸ばして、外壁やブレードを点検できる免許も間もなく取る。

 海外製の風車は機密を守るため保守点検作業を外注することはほとんどないが、米国のゼネラル・エレクトリック(GE)社は今回初めて現地の会社に委託した。松尾さんら「羽後設備」の6人のチームは、研修を経て1年前からメンテナンス作業にあたっている。

「これからは沖合に風車が並ぶことになる。風という秋田の資源が、新しい産業の展開につながればいいかな」

 風力発電は2020年現在、日本の総発電量の1%を作るだけ。電力を安定供給できるのか、送電線への接続はできるのかなどの問題で、伸び悩んできた。国内で風車生産をしていた日立製作所や三菱重工は撤退した。

 ようやくここへきて洋上風力発電の飛躍的な拡大を目指し、政府は19年に再エネ海域利用法を施行。官民協議会がまとめた洋上風力産業ビジョンでは、その発電能力を40年までに最大4500万キロワットとする目標を掲げた。原発45基に相当する規模で、実現すれば、これまで原発に頼ってきた電力を丸ごと洋上風力が支えることになる。国内の部品調達率を60%に引き上げる目標も定めた。

■秋田だけで原発2基分

 優先的に開発する「促進区域」として、秋田県の2区域など4区域を指定したが、「有望な区域」と「一定の準備段階に進んでいる区域」を加えれば、秋田県だけで最大出力は約200万キロワット(原発2基分)を見込める。


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