(左上から時計回りに)バービーさん、松尾亜紀子さん、高頭佐和子さん、田中俊之さん、山崎ナオコーラさん(写真:本人提供)
(左上から時計回りに)バービーさん、松尾亜紀子さん、高頭佐和子さん、田中俊之さん、山崎ナオコーラさん(写真:本人提供)

 それぞれの立場から自身または社会と「性」の関係を見つめ発信してきた5人にオススメの本を紹介してもらった。学術書から小説、ノンフィクション、漫画まで。令和の時代の「ジェンダー入門」、あなたはどこから始める? AERA 2021年3月1日号に掲載された記事を紹介する。

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 誰もが「またか」と思ったに違いない森喜朗氏の性差別発言。本当に2021年のことかとめまいがしてくるようだが、以前との変化といえば「#わきまえない女」のようなハッシュタグがすぐさま作られ、抗議の声が止まらないことだ。

  これだけではない。日常に潜むジェンダーバイアスは今年もおそらく様々なところで目にするだろう。問題の本質は何か。SNSを追うだけではなく、一度咀嚼して自分の頭で考えてみる時間を持つのに、本を読むことは一つの有効な方法だろう。

 20年は、ジェンダーをテーマにした多くの本が出版された年でもあった。小説集を刊行した山崎ナオコーラさん、エッセー集を刊行したバービーさんにも選者に加わってもらった。

 書店員の高頭佐和子さんは、売り場で日々接するお客さんや市場の動向も踏まえた選書を、大正大学の田中俊之准教授は「男性学」の立場から学術書も含めジェンダー入門となる選書をしてもらった。

 コロナ禍の状況を「日頃隠されてきた問題がより顕著になっている」と見るのは18年にフェミニズム出版社エトセトラブックスを立ち上げた松尾亜紀子さん。性暴力、ケア労働、非正規雇用の問題、どれも負担を強いられ安全な暮らしが脅かされているのは弱い立場の人たちだ。

 厳選された25冊はどれも今読むべき本ばかり。あなたをアップデートしてくれるはずだ。

■性暴力の根絶目指し、まずは社会の意識を変える
松尾亜紀子さん
まつお・あきこ/エトセトラブックス代表。出版社勤務を経て、2018年に出版社エトセトラブックスを立ち上げた。今年1月には代田(東京都世田谷区)に同名書店もオープン

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