澤田:なるほど。

佐藤:それともう一つ。例えば『人間革命』や『新・人間革命』は創価学会の人たちは一生懸命読むんですけど、外部の人はほとんど読まないでしょう。

澤田:はい。読んだことないです。

佐藤:創価学会の人が読んでも違和感が無く、外部の人にもリーダブルな作品がない。だったら、自分で書くしかないなと思いました。

澤田:確かに、興味を持ったときにどこに行けばいいのかわからないというのはあります。ほかの宗教でもそうなんですけれど。私はキリスト教主義の学校で育ってきたから、キリスト教に関心を持ったときにどうすればいいかわかりますが、そうでなければどこから勉強すればいいかわかりづらいですよね。ただそもそも、なぜAERAでこれをやろうと思われたんですか。

佐藤:最初から書き下ろしたっていいのですけれども、週刊誌であるAERAでやると、当然反発もあります。そういう声を聞きたかったんです。結果的に、公式文献だけでやってるんだったら内在的な論理はわからないんじゃないかとか、学会を礼賛するためにやっているんじゃないかという批判はありましたけれど、テキストの中に入っての批判というのはなかったですね。

■徹底的にテキストで池田氏の人生を読み解く

澤田:やっぱり、イメージ先行っていうのはあるんでしょうね。

佐藤:でも、創価学会について伝える本を中の人間は書きにくいでしょう。キリスト教のことを私が書くときに、非常に難しくなっちゃうのは、私が当たり前と思っていることが外の人にとっては当たり前じゃないから。こういうことがたくさん出てきちゃうんです。例えば、この本で扱った炭労事件を丁寧に書くっていうのは、学会員はあまり関心を持たなかったと思うんですね。

澤田:日本人は人間関係を円滑にするために、宗教や政治についてはあまり語らないという意識がありますよね。ですので、創価学会も存在は知っているけれど触らないほうがいい、みたいな印象論だけでずっときました。

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