「第42回聴覚障害児を育てたお母さんをたたえる会」では、手話を使ってお言葉を述べた/1月27日、東京都千代田区で (c)朝日新聞社
「第42回聴覚障害児を育てたお母さんをたたえる会」では、手話を使ってお言葉を述べた/1月27日、東京都千代田区で (c)朝日新聞社

 凛とした力強さと潔さを感じさせる、秋篠宮家の次女・佳子さまの言葉。自身についてはもちろん、姉・眞子さま結婚に関してや母・紀子さまに関する質問でも、まっすぐに言うべきことを口にする。その凛々しさは、天皇家で「次」に生まれたものの特権なのかもしれない。AERA 2020年10月26日号から。

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「かくあるべし」という縛り、守るべきとされる「前例」。それを乗り越えやすいのが、「次」に生まれた者の特権。そう考えると、「次男の次女」である佳子さまが見えてくる。「最初」に生まれた人にはできない大胆なことが、「次」だからできる。

 かくして佳子さまは、はっきりと意見を口にする女性となった。そのことを最初に感じたのは、14年12月、成年を迎えるにあたって臨んだ記者会見だった。「ご家族はそれぞれ、どのような存在ですか」という質問に対し、まず秋篠宮さまについて語り、次に紀子さまについてこう語った。

「母は、週刊誌などでは様々な取り上げ方をされているようですが、娘の私から見ると、非常に優しく前向きで明るい人だと感じることが多くございます。幼い頃は手紙にスマイルの絵を描いてくれたことが、よく印象に残っております」

 すでに紀子さまバッシングのようなことが起きていた。それを踏まえて佳子さまは、「私の目に映る母は違います」と具体的に反論した。機会をとらえて言うべきことを言う。こういうことを凛々(りり)しいと言う。

 19年3月、国際基督教大学を卒業するにあたっての文書回答からも、それはにじんでいた。眞子さまの結婚問題について「私は、結婚においては当人の気持ちが重要であると考えています。ですので、姉の一個人としての希望がかなう形になってほしいと思っています」と回答したことが注目された。

 が、個人的には「お相手はいらっしゃいますか」という質問への回答に最も感動した。正確には「結婚の時期や、理想の男性像についてどのようにお考えでしょうか。お相手はいらっしゃいますか」という質問だった。以下、回答を忠実に再現する。

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矢部万紀子

矢部万紀子

矢部万紀子(やべまきこ)/1961年三重県生まれ/横浜育ち。コラムニスト。1983年朝日新聞社に入社、宇都宮支局、学芸部を経て「AERA」、経済部、「週刊朝日」に所属。週刊朝日で担当した松本人志著『遺書』『松本』がミリオンセラーに。「AERA」編集長代理、書籍編集部長をつとめ、2011年退社。同年シニア女性誌「いきいき(現「ハルメク」)」編集長に。2017年に(株)ハルメクを退社、フリーに。著書に『朝ドラには働く女子の本音が詰まってる』『美智子さまという奇跡』『雅子さまの笑顔』。

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