次期総理に有力視されている菅官房長官 (c)朝日新聞社
次期総理に有力視されている菅官房長官 (c)朝日新聞社

 安倍首相の体調不安をめぐる騒動から、次期総理に菅官房長官が有力視されている。安倍首相が選ぶシナリオとは。AERA 2020年8月31日号の記事を紹介。

【画像】安倍首相の評価は「5段階で2」 リーダー通信簿はこちら!

*  *  *

 安倍晋三首相の「健康不安説」がささやかれる中、存在感を増しているのが菅義偉官房長官だ。21日にはテレビ朝日「報道ステーション」に生出演するなど、定例記者会見以外にも積極的に露出を増やしている。政権内では仮に安倍首相が9月中にも退陣を表明した場合、「次の総理は菅」という路線が最有力だという。

 派閥を持たない菅氏にとって、安倍首相を支える細田派、麻生派に加え、二階派の協力が必要不可欠だ。「政高党低」と言われるほど党本部に対して官邸の優位が続いてきた安倍政権で、菅氏と二階俊博幹事長はGoToキャンペーンなど数々の政策で対立してきた。しかし今、首相の求心力の低下で両者の距離は急接近している。

 安倍首相は8月24日で、第2次政権発足後の連続首相在任日数が佐藤栄作氏を抜いて戦後最長を記録する。その直後に退陣という噂もある。

 政権を手放した13年前の「いつか来た道」を避けるシナリオはこうだ。安倍内閣は総辞職。麻生太郎副総理がつないで緊急の両院議員総会、そして総裁選。首相指名で菅氏が選出され、晴れて「菅政権」の発足となる。菅氏に近い自民党議員の一人は「解散なし」が肝だと意気込む。

「今、解散すれば自公は総崩れになる。コロナ危機を理由に解散は避け、危機管理内閣を立ち上げる。支持率が低空飛行でも来年の衆議院議員の任期を迎えればいい。コロナさえ終息すれば経済は必ず復活しますから」

 いずれにしても、体調不安を抱えた安倍首相が求心力を取り戻すことは不可能のようだ。(編集部・中原一歩)

AERA 2020年8月31日号より抜粋