語り手の感情を引き出し、言語化していく 久保田智子<現代の肖像> (1/2) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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語り手の感情を引き出し、言語化していく 久保田智子<現代の肖像>

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高瀬毅AERA
中・高時代は広島。「原爆を語る資格はないと思っていた。いまは、ちゃんと向き合いたい」(撮影/片山菜緒子)

中・高時代は広島。「原爆を語る資格はないと思っていた。いまは、ちゃんと向き合いたい」(撮影/片山菜緒子)

米国と日本の大学で研究してきたオーラルヒストリーは、改めて自分を見直すきっかけとなった。ふたたび伝え手としてメディアの表舞台に立つ将来を見据える(撮影/片山菜緒子)

米国と日本の大学で研究してきたオーラルヒストリーは、改めて自分を見直すきっかけとなった。ふたたび伝え手としてメディアの表舞台に立つ将来を見据える(撮影/片山菜緒子)

 元TBSアナウンサーで、「筑紫哲也NEWS23」や「どうぶつ奇想天外!」などで活躍した久保田智子さん。TBS時代から、戦争の記憶を持つ人がいなくなることが気になっていた。結婚を機に退社し、渡米すると、オーラルヒストリーを学んだ。じっくり話を聞き、語り手の無意識の感情を引き出し、言語化していく。これからは、「被爆体験伝承者」としても活動を始める。

*  *  *
「別になんでもいいんです……。何がいいですか」

 肩書について尋ねたら、あっけらかんと逆に質問が返ってきた。

 フリーアナウンサー、元TBSアナウンサー、ジャーナリスト。絶対これで、というこだわりはまったくない。オーラルヒストリアンというあまり耳慣れない肩書でメディアに登場する時もある。ただそれも相手の自由に任せているという。

 オーラルヒストリアンというのは、オーラルヒストリーの学者や研究者のことだ。個人の経験や物語を口で語ってもらい記録する歴史叙述の方法や記録された内容をオーラルヒストリーという。久保田智子(43)は現在、東京大学大学院博士課程でオーラルヒストリーを研究する学生でもある。

 4年前に16年間勤めたTBSを退社。局アナ時代、「筑紫哲也NEWS23」「Nスタ」といった報道番組から「どうぶつ奇想天外!」などバラエティーまで担当し、てきぱきとした仕事ぶりで知られていた。

 転身のきっかけは、仕事を辞める1年ほど前に一人の被爆者と出会ったことにある。話を聞きたいと広島平和記念資料館(原爆資料館)に相談し、紹介されたのが笠岡貞江(87)だった。

「ふつう、学校の生徒さんとか団体に話すことがほとんど。だけど資料館に行ったら、久保田さん一人。取材で来たんかなと思いました」


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