「アメリカの例を見れば、慎重にやらなければいけないのは明らかです。3月にピークがあって4月ごろには少なくなり、経済活動を解禁させました。その結果、今は南部や西部を中心にものすごい数の感染者が出ていて、1日に6万人を超える日もありました」

 7月に廃止された政府の専門家会議はこれまで、感染の制御に向けて「前のめり」(脇田隆字座長)に国民に対してアナウンスをしてきた。濱田さんも「経済よりも感染対策という方向に進んでいた」とみていたが、現状の認識は違う。

「その後、経済を重視する方向に方針が変わっているように思います。医療従事者や市民の方々に『今は感染制御の対策を』という思いがあっても、政治家や経済界の人たちは経済の方を気にする。どう決着すればいいのか、非常に難しい」

 第2波は秋以降。そもそも、そんな空気が流れていたにもかかわらず、なぜ緊急事態宣言の全面解除から間もない時期に再び感染が広がったのか。濱田さんはこう説明する。

「解除後の対応が中途半端だったと悔やまれます。流行が面の広がりを持つ前に、もう少し強くやっておくべきでした」

 そして濱田さんは、政府が経済優先に舵を切り、感染が広がってもブレーキをかけない理由をこう推測する。

「南半球を見るとよく分かります。冬の時期になった南アフリカやブラジル、チリ、オーストラリアなどで感染者が増えています。同じように、北半球も秋以降に第2波が来るでしょう。そうなれば、緊急事態宣言が再び出されることも考えられるわけで、本来は小休止期にあるはずだった今の時期に経済を動かす必要があったのです」

 今、どう振る舞うべきか。

「軌道修正しながらやっていくしかありません。上がり始めている火を早く消さなければ、大変なことになります」

(編集部・小田健司)

AERA 2020年7月27日号