記者会見したサービスデザイン推進協議会の大久保裕一氏(左)ら。事務は電通が仕切っているようだが、協議会が1次請けになる理由はあったのか (c)朝日新聞社
記者会見したサービスデザイン推進協議会の大久保裕一氏(左)ら。事務は電通が仕切っているようだが、協議会が1次請けになる理由はあったのか (c)朝日新聞社

 持続化給付金事業の委託をめぐって、安倍政権による“身内”への利益誘導があったのではないかとの疑念が噴出している。同様の疑念は、「アベノマスク」や「お肉券」「お魚券」でも浮上してきた。AERA 2020年6月22日号では、コロナ禍の不自然な事業委託に迫った。

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 新型コロナウイルスへの対策で今、「一般社団法人サービスデザイン推進協議会」に注目が集まっている。

「こざかしいですが、国も電通の名前を出したくなかったんじゃないですか。みなさん『悪魔の組織』だと思っているし。持続化給付金のサイトはミスだらけって言われていますが、それでも時間がない中で形にする会社は他にないじゃないですか」

 大手広告会社、電通の社員がこう話す。同社は協議会の設立にかかわり、持続化給付金の事業をほぼそのまま再委託されていた。

「電通に直接委託しない理由はあるのか」
「トンネル法人ではないのか」

 噴出する疑念。この契約のあり方に、ある官僚はこう述べた。

「個人的には、こんな契約はナシですね。国は、ぬるすぎる」

 持続化給付金の事務を経済産業省から委託されたこの協議会は、電通のほか、政府と太いパイプがある竹中平蔵氏が会長を務める人材派遣大手のパソナ、ITサービス大手トランスコスモスなどが2016年に設立。給付金の事務手続きでは、769億円で請けた業務の大部分を電通に749億円で再委託したことがわかっている。

 協議会はこれまでに経産省の事業を14件(総額約1600億円)受託。電話番号も公表されず、都内の事務所にはスタッフもいない。法で義務づけられた決算公告もされていなかった。

 実態さえわかりにくい法人だけに疑念が浮かび、電通と協議会は8日に会見を開いた。

「説明責任を果たしてこなかったことを深く反省する」

 協議会の代表理事に就いた電通グループ執行役員の大久保裕一氏が謝罪したが、電通の榑谷(くれたに)典洋・取締役副社長執行役員は、電通側にとってはうまみのある商売ではないことを強調した。

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