ボブ・ディラン、“愛ある剽窃”が独創性に? 詩集ヒントに深掘りする名曲たちの魅力 (1/2) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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ボブ・ディラン、“愛ある剽窃”が独創性に? 詩集ヒントに深掘りする名曲たちの魅力

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小田健司AERA
2019年7月にロンドンのハイドパークで行われた公演で演奏するディラン(写真:gettyimages)

2019年7月にロンドンのハイドパークで行われた公演で演奏するディラン(写真:gettyimages)

岩波書店から発売された詩集『THE LYRICS』全2冊。翻訳にあたり佐藤氏は「作品にもう一度、真剣に向き合ってシビれてみた」(撮影/編集部・小田健司)

岩波書店から発売された詩集『THE LYRICS』全2冊。翻訳にあたり佐藤氏は「作品にもう一度、真剣に向き合ってシビれてみた」(撮影/編集部・小田健司)

 最近、ボブ・ディランファンにはたまらない情報が相次いだ。詩集や新曲、そして8年ぶりのアルバムも発売されるという。詩集の日本語訳者に、その魅力や翻訳で心がけたことを聞いた。AERA 2020年6月1日号に掲載された記事を紹介する。

【写真】岩波書店から発売された詩集『THE LYRICS』全2冊

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 新型コロナの影響で日本公演が中止になったボブ・ディラン。本誌4月6日号では、長年のファンの筆者が無念を記事にしたが、さらに話題が相次いだ。

 詩集『THE LYRICS』の日本語訳が発売され、新曲の「Murder Most Foul」と「I Contain Multitudes」も発表された。そして、ニューアルバム「Rough And Rowdy Ways」だ。日本では7月に発売予定で、オリジナルアルバムとしては2012年の「Tempest」以来。コロナ禍のなか、世界中のファンを喜ばせた。

 新曲「Murder Most Foul」は17分に及ぶ大作で、米ビルボードチャートで初の1位。ケネディ大統領暗殺への言及で始まり、ビートルズ、ディスクジョッキーのウルフマン・ジャック、その他多くの実在した人物名を挙げ展開させる一大叙事詩だ。

『THE LYRICS』の日本語訳を手がけた東京大学名誉教授で米文学者の佐藤良明氏(69)は言う。

「人間味を感じます。ウルフマン・ジャックなんかは20世紀のアメリカをまばゆくさせている人物の一人。そういう過去の人物を挙げるだけで『おお、ディランがそれを歌うか』という気持ちにさせてくれます」

 ただし、何を歌っているかは、「長く付き合っているうちにわかることでしょう」と指摘。

 ディランの歌を理解する助けになるのが、佐藤氏が手がけた詩集だ。原書は16年に発売され、全387作品。

「ディランの詩は考え抜かれてできているという面もありますが、歌としての音韻やリズムの偶然性に頼ってパフォーマンスとして格好良く作られています。歌詞の中で動詞が韻を踏むような曲では、とにかくそのニュアンスを日本語で出すことに意欲を燃やしました」(佐藤氏)


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