コロナ禍での「学習の遅れ」 専門家は「学習指導要領の範囲減らす措置が必要」と指摘

教育

2020/05/17 07:00

 大事なのは、教科を教える従来の立場から、子どもの学ぶ意欲を高め、支える伴走者へ、教師の役割をシフトすることです。それは、新型コロナの前から学校に求められてきたことでした。学習指導要領には「主体的な学び」の実現がうたわれており、その課題がよりダイレクトに突きつけられたかたちです。

 家庭の役割も同じです。子どもの意欲や好奇心を第一に、励ましながらサポートをする。せっかく自由な時間も増えていますから、好きなことを存分にさせて見守ることも大事です。

 文部科学省は、家庭学習の成果も評価して対面授業の代わりにできるという通知を出しましたが、家庭に学習指導を負わせることについては慎重になるべきです。親子間では特有の難しさがあり、関係が悪化するリスクもありますし、コロナ禍のなかストレスがたまった親から「勉強しろ」とばかり言われては、子どもの意欲は低下しかねません。

 授業時間を取り戻すため、夏休みの短縮を打ち出す自治体も出ています。ある程度は仕方ないと思いますが、「夏休みゼロ」のような極端な施策には反対です。猛暑のなか、子どもたちのモチベーションが保てるとは思えませんし、子どもたちの自由時間も大切です。過度な詰め込み発想は主体的な学びという理念にも逆行します。

 9月入学・新学期案も急浮上しましたが、いますべきは、特例措置として今年度の学習指導要領の履修範囲を減らす検討です。ゆとり教育では学習内容の3割削減が進められました。3割が適当かどうかは別にして、できないことはないはずです。同様に、入試についても出題範囲を精選して提示することや、履修範囲に応じて問題を選択できるような配慮が必要でしょう。

 子どもたちを「自律的な学習者」に育てていくための環境づくりは待ったなしです。

(構成/編集部・石田かおる)

AERA 2020年5月18日号より抜粋

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