「来季は限界の先へ行く」 羽生結弦の今季とクワッドアクセルへの道のり

フィギュアスケート

2020/05/02 11:30

羽生結弦/GPファイナル。ネイサン・チェンとの直接対決となったが、40点以上の差をつけられ敗れた。ただ、羽生はフリーで4回転5本の構成で挑み、手応えもつかんだ (c)朝日新聞社
羽生結弦/GPファイナル。ネイサン・チェンとの直接対決となったが、40点以上の差をつけられ敗れた。ただ、羽生はフリーで4回転5本の構成で挑み、手応えもつかんだ (c)朝日新聞社

 羽生結弦の今季の終わりは突然訪れた。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、雪辱を果たすはずだったフィギュアスケート世界選手権が中止に。しかし、羽生は来季に向けて既に前を向いているという。

【写真】感情を爆発させる美しい羽生結弦 全5枚

*  *  *
 フィギュアスケートの世界選手権は新型コロナウイルスの感染拡大を受け、中止になった。平昌五輪で66年ぶりの連覇を達成した羽生結弦(25)にとって、世界選手権はリベンジの舞台となるはずだったが、突然、終止符が打たれた。

 悔しさから今季は始まった。昨年3月、日本であった世界選手権でネイサン・チェン(20)に敗れ2位。羽生はこう語った。

「ショートとフリーをノーミスしても、多分ギリギリで勝てなかったと思う。なので、完全に実力不足。やっぱり、プライドは捨てたくない。得点源になるジャンプをもうちょっと増やさないといけない」

 得点源になるジャンプとは──。羽生は4回転ループの安定に加え、4回転ルッツを積極的に構成に組み込んだ。昨年12月のグランプリ(GP)ファイナルでは、2017年のGPシリーズロシア杯以来、2年ぶりに4回転ルッツを解禁。チェンに対抗するため、フリーで4回転5本に挑み、冒頭のループ、続くルッツを鮮やかに決めた。出来栄え点(GOE)はループが4.05点、ルッツが3.94点と高得点。ショートでのミスが響き、チェンとは40点差以上の2位だったが、手応えもつかんだ。

「とりあえずループ、ルッツが跳べたということは、点数以上にかなり自分の中では進めたなって感触はあります。大きな一歩だった。(チェンとは)得点ほどの差は感じていない」

 一方、羽生はスケートに対する違和感も口にしていた。

「ジャンプに集中して全部GOEを稼げるようにした方が点数的にはおいしいかもしれない。ただ、やっぱり、何かそれじゃ僕の中でスケートをやる意味になれないんですよね。以前、『ジャンプ大会じゃないんで』って言ったんですけど、今回(GPファイナル)の自分の演技は完全に一生懸命なだけ。ただ、ひたすらにジャンプ大会みたいな感じが自分の中ですごくある」

1 2 3

あわせて読みたい

  • 羽生結弦、五輪連覇へ…“不屈の精神力”を見くびるな!

    羽生結弦、五輪連覇へ…“不屈の精神力”を見くびるな!

    dot.

    2/15

    羽生結弦の言う「壁」とは何なのか…究極の目標へ向けスタート切った男の決意

    羽生結弦の言う「壁」とは何なのか…究極の目標へ向けスタート切った男の決意

    dot.

    10/29

  • 羽生結弦、北京五輪は「夢をかなえるために勝つ」 3連覇と4回転アクセルへの決意

    羽生結弦、北京五輪は「夢をかなえるために勝つ」 3連覇と4回転アクセルへの決意

    AERA

    2/3

    結果を分けた5種類の4回転ジャンプ 世界フィギュアで日本はどう戦う?

    結果を分けた5種類の4回転ジャンプ 世界フィギュアで日本はどう戦う?

    AERA

    4/4

  • 羽生結弦の限界なき挑戦 NHK杯で大技「4回転ルッツ」成功なるか?

    羽生結弦の限界なき挑戦 NHK杯で大技「4回転ルッツ」成功なるか?

    dot.

    11/9

別の視点で考える

特集をすべて見る

この人と一緒に考える

コラムをすべて見る

カテゴリから探す