●スプーンが使えるようになってくるころ

 1歳近くになると親の使っている箸やスプーンに興味を持ち始めます。そんな様子が見られたら、そろそろスプーンを持たせる時期です。最初はスプーンで机をたたいたり、器の中をグチャグチャとかき混ぜたりするだけかもしれませんが、徐々に使い方がわかって上手になってきますので、手伝いたい気持ちをグッと我慢して見守ることも大切です。親ができることは「スプーンに乗りやすい大きさ、形状のメニューを用意する」です。また、スプーンを使えるようになってきますが、手づかみ食べは引き続きします。保育所の子どもたちを見ていると、2歳はまだ手づかみ食べとスプーンが混同している時期。3歳になっても手づかみで食べることもあります。1歳を過ぎてから、スプーンを使えるのに、手づかみ食べをすることは行儀が悪いわけではありません。食べる意欲を尊重しながら、スプーンで食べてほしかったら「スプーン使おうか」とさりげなく一声かけるだけで十分です。「スプーンで食べなさい!」としつけとして注意するのは厳禁です。

●完全に自由にするのではなく、ルールを決めて自由にさせる

「しつけはしなくていい」「楽しく食べさせて」と言いましたが、赤ちゃんの食べ方に合わせて、好き勝手にさせるわけではありません。親の中で食事のルールは決めておきましょう。例えば私が保育所で決めているルールは以下です。

1. 手を洗い、食前は「いただきます」を言う
2. 自分で食べられるようになってきたら、赤ちゃんの能力に合わせ、できる限り手助けをしない
3. 遊び始めたら食事が始まって15分程度で切り上げる
4. 食後は「ごちそうさま」をして手を洗い、顔を拭く

「いただきます」と「ごちそうさま」は、何となくの流れでするのではなく、座って手を合わせてきちんとします。0歳でも1歳でも2歳でも、特にあいさつは大切にしています。それ以外の食事のしつけは、特にしていません。

 離乳食の時期は、親が振り回されることもあり大変。思わずイライラしてしまうこともあるでしょう。そんな時こそ、大きく深呼吸して「食事は楽しく!」とつぶやいてみてください。(文/中田馨)

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中田馨

中田馨

なかた・かおり/1978年生まれ。兵庫県の認可保育園、中田家庭保育所施設長。一般社団法人離乳食インストラクター協会代表理事。保育士目線の離乳食講座受講生は4年で2000人。自身も中3男子、小5女子の子育て中。

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