離乳食期は「楽しく食べる」ことが一番だ(写真/gettyimages)
離乳食期は「楽しく食べる」ことが一番だ(写真/gettyimages)

 離乳食は、赤ちゃんの月齢や発達によって食べ方が変化します。最初は親から食べさせてもらっていた離乳食ですが、少しずつ少しずつ自分で食べられるようになり1歳半頃には手づかみ食べやスプーンなどを使って、食事のほとんどを自分で食べる子が増えていきます。今回は、赤ちゃんの発達ごとの食べ方、この時期に必要なしつけを話します。

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●しつけやマナーは横に置いて

 離乳食期の赤ちゃんの食べ方を見ていると、食べこぼす、離乳食を手でグチャグチャにする、離乳食を投げる、口からベーと出す、口に入れたものを一度口から出してまた口に入れる、スプーンで器をたたく、立ち歩くなどなど。大人から見ると「それはやめてほしい!!」ということを毎回のようにします。「マナーが悪いからしつけをしなければ!」と思って「これしちゃダメ!」「アレしちゃダメ!」「ちゃんと食べなさい!」と言ってしまいがちですが、離乳食期にしつけをする必要はありません。離乳食期は、一旦しつけやマナーのことを横に置いて「楽しく食べる」ことに専念しましょう。あえて言うのであれば、離乳食期に大切にしたいしつけは、食前食後の手洗いと「いただきます」と「ごちそうさま」のあいさつです。あとは少々、遊び食べをしていても「食べ物に興味を持っているんだ」と多めに見ることで、赤ちゃんの食への関心はますます強くなります。

●手づかみ食べがそろそろ始まるころ

 9カ月ごろになると手づかみ食べがスタートします。離乳食の最初は「初めて口にする味、におい、食感」に慣れることにいっぱいいっぱいの赤ちゃんですが、しばらくすると余裕が出てきて、食べることに積極的になっていきます。離乳食や食器に手を伸ばしたり、手に掴んでグチャグチャにしたりすることもあります。グチャグチャにされると親としてはショックですし、後片付けのことを考えると「トホホ」と思ってしまいますが、ここで考え方を変えるのです。食べ物に手を伸ばし、グチャグチャにするということは「食べ物に興味を示している証拠!」。触って食べたいんだけど、手の器用さが伴わない場合もあります。そんな赤ちゃんの気持ちに寄り添い、できる範囲で赤ちゃんの好きにさせてあげます。私の経験から言うと、グチャグチャにしながら豪快に食べていた子は、幼児期に入ると上手にスプーンを使って食べる子が多いです。もし、グチャグチャにするだけの状態が10分以上続いたのなら、潔く食事を終了してもOKです。

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中田馨

中田馨

なかた・かおり/1978年生まれ。兵庫県の認可保育園、中田家庭保育所施設長。一般社団法人離乳食インストラクター協会代表理事。保育士目線の離乳食講座受講生は4年で2000人。自身も中3男子、小5女子の子育て中。

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