自宅リビングで仕事をしていると、子どもがたびたび「お母さん、ここ教えて」と聞いてくる。仕事がはかどらずに焦ったり、イライラしたりすることも増える
自宅リビングで仕事をしていると、子どもがたびたび「お母さん、ここ教えて」と聞いてくる。仕事がはかどらずに焦ったり、イライラしたりすることも増える
中学受験専門カウンセラー 安浪京子さん/岐阜県生まれ。中学受験算数の家庭教師として、きめ細かい指導とメンタルフォローをモットーに毎年多数の合格者を送り出す(撮影/片山菜緒子)
中学受験専門カウンセラー 安浪京子さん/岐阜県生まれ。中学受験算数の家庭教師として、きめ細かい指導とメンタルフォローをモットーに毎年多数の合格者を送り出す(撮影/片山菜緒子)

 緊急事態宣言を受けて在宅勤務がますます奨励され、子どもと顔をつきあわせる時間が増えてきた。長期にわたる「巣ごもり」をマイナスととらえず子どもと触れ合う機会とポジティブに考えてみよう。AERA2020年4月20日号は、中学受験専門カウンセラー・安浪京子さんに、在宅勤務中の子どもとの接し方について意見を求めた。

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 目黒区在住の新小学3年女児の母親(44)は、「在宅の方が大変」とこぼす。

「娘は勉強にすぐ飽きて『飴が食べたい』『トランプをやろう』としょっちゅうちょっかいを出してくる。ついイライラしてきつく当たってしまいます」

 安浪京子さんによると、住宅環境や仕事の内容にもよるが、子どもが勉強をしている横で親も一緒に仕事をするのは、悪いことではないという。

「在宅勤務は、親が仕事をしている姿を見せるチャンス。子どもにとっても、親が隣で真剣に仕事をしているのは、うれしいものです」

 仕事の邪魔をされないためには、メリハリをつけることが大切だ。子どもには「仕事をするから、11時までは話しかけないで」と宣言する。ただし一日中仕事をするのではなく休み時間を決め、子どもと過ごす時間もつくる。気を付けたいのは、職場のビジネス感覚で子どもに当たらないことだという。

「仕事ができる人ほど、子どもが思い通りに動かないとイライラして、理詰めで追い詰めてしまう。子どももストレスがたまっています。多少大目に見て、初めてハイハイしたり立ち上がったりした時のような気持ちで、ちょっとしたことでも褒めることが大切です」

 仕事でトラブルになったら、子どもに愚痴をこぼしてみよう。失敗した経験を打ち明けると、親との距離がぐっと縮まったように感じるはずだ。子どもの前で仕事の電話をかけるのも、守秘義務さえなければOKだ。

「子どもは意外と電話の内容を聞いているもの。『何の電話?』と聞かれたら、きちんと説明してあげては」

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