アフガニスタンをめぐる主な出来事(AERA 2020年2月10日
アフガニスタンをめぐる主な出来事(AERA 2020年2月10日
現在も米軍と戦闘を続けるタリバーン兵。今や米国が支援する政府側の勢力範囲はアフガニスタン全土の3割程度にすぎないとみられている(写真:gettyimages)
現在も米軍と戦闘を続けるタリバーン兵。今や米国が支援する政府側の勢力範囲はアフガニスタン全土の3割程度にすぎないとみられている(写真:gettyimages)

 米政府のアフガニスタン攻撃の実態を暴露した「アフガニスタン・ペーパーズ」が話題だ。その報告によれば、米国はイラク、シリアと合わせ、実質的には「3連敗」の状況だという。AERA 2020年2月10日号では、米政府が隠蔽した「アフガニスタン攻撃の不都合な真実」を紹介する。

【写真】現在も米軍と戦闘を続けるタリバーン兵

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「アフガニスタン・ペーパーズ」は現地の米軍幹部や国務省の担当者らが特別監察官の調査に対し、治安回復、復興計画が失敗していることを長年知りながら、データの改ざんや不都合な情報の隠蔽、情勢判断の歪曲などにより、状況が好転しているような発表が続いていたことを認めたことを明らかにした。

 例えばブッシュ(息子)政権と次のオバマ政権でホワイトハウスの軍事顧問を務めたダグラス・ルート退役陸軍中将は、「我々はアフガニスタンにつき基本的理解を欠き、何をしようとするのか分からず、霧の中で行動しているようだった」と述べた。国務省でアフガニスタン政策を担当したジェームズ・ドビンズ元特別代表は「我々は元々粗暴な国に侵攻し、平和をもたらそうとしたが明らかに失敗した」と認めている。

 アフガン政府軍17万4千人(公称)、国家警察隊14万8千人(同)の経費は今日でもすべて米国など外国からの援助で賄われているが、脱走する兵士が多く、アフガン軍を訓練した米軍将校らは特別監察官に対し「アフガン軍の司令官たちは兵士の数を水増しして数万人分の給料を着服していた」と述べている。

 脱走兵が多いことは隠蔽され、データ上では訓練済みの兵士が増え、治安能力が向上しているような発表が行われてきた。公表した人数と実員との差があれば、司令官らが給与の差額を着服するのは自然の成り行きだ。

 警察官は08年の7万2千人から、12年には15万7千人に急増したが、現地の米軍将校は「募集した警察官の3分の1は麻薬患者かタリバーンだった」と言っている。

 首都カブールで自爆テロが起きると、「タリバーンは弱体化して自暴自棄となり、それは我々が勝ちつつあることを示す」と説明した、との話もある。

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