日本の小惑星探査機「はやぶさ2」が、地球から約3億キロも離れた小惑星「リュウグウ」に到着後、約1年半に及ぶ探査を終え、2019年11月13日、地球に帰る旅を始めた。採取した砂や石を20年末、地球に届ける予定だ。世界に誇れるみごとな活躍ぶりをまとめた。小中学生向けのニュース月刊誌「ジュニアエラ」2月号に掲載された記事を紹介する。

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 2014年12月3日に打ち上げられたはやぶさ2の最大の使命は、小惑星「1999JU3」の砂や石が入ったカプセルを持ち帰ること。浦島太郎が玉手箱を竜宮城から持ち帰る話にちなんで、この小惑星は「リュウグウ」と名付けられた。カプセルは「玉手箱」にたとえられる。

 打ち上げからおよそ3年半、はやぶさ2は総飛行距離約32億キロを飛んで、18年6月にリュウグウに到着した。間近で見るリュウグウは、そろばんの「たま」のような形をした直径約900メートルの、岩石に覆われた天体だった。

 それから約1年半、スケジュールに多少の変更はあったものの、ミッションは一つの失敗もなく計画通りに成しとげられた。

 主なミッションと探査からわかったことを振り返ってみよう。

 18年9月、はやぶさ2は小型探査ロボット「MINERVA─II」をリュウグウに投下。小型探査ロボットは跳びはねながら移動して、でこぼこした地表の写真約600枚を撮影した。移動できるロボットを小惑星に降り立たせたのは世界初。10月にはドイツとフランスが共同開発した小型着陸機「MASCOT」を着陸させ、約17時間にわたって地表の探査を行った。

 はやぶさ2は、19年2月には、1回目のタッチダウン(接地)に成功。リュウグウの地表は大小の岩に覆われているので、機体を傷つけず安全にタッチダウンできる場所は限られる。最大の難関だったが、プロジェクトチームは、事前に投下した目印を目標に降りる「ピンポイントタッチダウン」という方法を編み出し、半径3メートルの区域にみごと着地した。このとき、弾丸を発射して地表の砂や石を舞い上がらせ、それらを採取することにも成功した。

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上浪春海
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