子どもたちが作ったスライド。個性が光るとっておきの1枚
子どもたちが作ったスライド。個性が光るとっておきの1枚
夢中でオリジナルのスライドをつくる子どもたち
夢中でオリジナルのスライドをつくる子どもたち

 ぷれりか(幼児)クラスでは、1年で六つのプロジェクトに取り組みます。ついこの前入塾式を開催したような気持ちでいましたが、早いもので12月より五つ目のプロジェクトに突入です。

【写真】夢中でオリジナルのスライドをつくる子どもたち

「今度のプロジェクトは『光』がテーマです!」

 プロジェクト初日。私がそう切り出すと、子どもたちは首をかしげて、頭にはてなマークを浮かべていました。

 光を使ってどんなことをするのか、彼らはイメージが湧かない様子でした。

 いつも通りテーマに関して思いつくことを確認するところからプロジェクトはスタートします。

「光と言ったら・・・電気!お金払わないと光らへんねんで」

 真っ先に手を挙げたSちゃんが元気よく答えてくれました。

「なんでそんなこと知ってるの? もしかして家の電気を止められたことがあるの?」

 なんとも無邪気な発言に保護者の方から思わず笑いが起こります。

「うーん、太陽光パネルかなあ。どうやって電気をつくってるかわからないんだよねえ」

 物知り博士のKくんには以前から気になっていた素朴な疑問があるようです。

「ストーブじゃない?だってほら、明るいし」

 Nちゃんは教室の隅で部屋を暖めてくれている石油ストーブを指さします。彼女にとって火と言えば赤色のイメージが強く、ストーブが放つオレンジ色の光との違いが気になるとのこと。

 不思議と一度発言すると、その後は次々に意見が出てくるようになります。

「私の腕時計、ボタン押すとライトがつくよ」

「歩くたびに光る靴もよく見かけるよね~」

「知ってた? 光るパジャマっていうのがあるねんで」

 身近なところに人工的な光が使われていることもよくあります。

「太陽って雲がかかると白っぽくなんねんなあ」

「夜は月が光ってる。なんで月って歩いてもついてくるんやろ?」

「雷の光は黄色っぽい!」

 自然界にはさまざまな色の光が存在しています。この色の違いは何なのでしょう。謎は深まるばかりです。

 みんなの意見が模造紙を埋めつくしたところで、私はぷれりかキッズの前にある機械を差し出しました。昔懐かしいスライド映写機です。

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山田洋文

山田洋文

山田洋文(やまだ・ひろふみ)/1975年生まれ、京都府出身。教育家。神戸大学経済学部卒。独立系SIerのシステムエンジニアを経て、オルタナティブスクール教員に。2016年4月、京都市内でプロジェクト学習に特化した探究塾の探究堂(http://tanqdo.jp/)を開校。探究堂代表、認定NPO法人東京コミュニティスクール理事。

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