一部の残業代が未払いだったことを受け、会見するセブン-イレブン・ジャパンの永松文彦社長(中央)ら/12月10日、東京都千代田区 (c)朝日新聞社
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セブン-イレブンを巡る主な出来事(AERA 2019年12月23日号より)

 残業代未払いが発覚したセブン‐イレブン・ジャパン。会見では「数字を誤った」と主張していたが、「法令違反」には変わりない。AERA 2019年12月23日号では、残業代の未払いが起きた背景に迫る。

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 セブン‐イレブン・ジャパンが、アルバイトらの残業代の一部を支払っていなかったとして会見を開いたのは12月10日。

 未払いがあったのはフランチャイズ契約でチェーンに加盟する8129店。対象は時給制で働く計3万405人。総額は遅延損害金の1億1千万円を合わせて4億9千万円にのぼる。これはデータが残っている2012年3月以降だけで、実際には1970年代から未払いがあったとみられている。

 東京都内で開いた会見で、永松文彦社長は「多大なるご迷惑とご心配をおかけしたことを深くおわび申し上げます」と頭を下げた。未払いの原因については「当時の議事録や担当者の書類、社員の聞き取りをしたが詳細はわからない」と説明した。

 盤石だと思われていたセブンのビジネスモデルを揺るがす出来事が続いている。

 今年2月、大阪府東大阪市の加盟店主が人手不足に悩んだ末、本部との合意がないまま時短営業を始めた。このことをきっかけに24時間営業の是非が社会問題化。店主とのコミュニケーションに問題があったとして、古屋一樹社長(当時)が事実上、更迭された。

7月にスタートさせたスマートフォン決済「7Pay(セブンペイ)」は不正アクセスを受け、3カ月後の9月末に廃止。11月には本部社員が加盟店主に無断でおでんを発注していたことが明らかになっている。

トラブルが続く責任を問われた永松社長は「創業45年、環境が変わっているなかで、我々自身が変わってこられなかった」と答えた。

 しかし、今回明らかになったのは労働基準法違反。残業代の未払いには罰則の規定もある。経営環境は関係ない。

残業代の未払いはなぜ起きたのか。

 労働基準法は労働時間の上限を定めている。1日なら8時間、1週間なら40時間だ。労働組合や従業員の代表と合意すれば、上限を超えて残業させることができるが、その場合は上限を超えた時間分の残業代を払わなければいけない。

 残業代は、本来の賃金から計算される「単価」に割増率をかけて決まる。今のルールでは、月60時間までの割増率が1.25倍、60時間を超えると1.5倍となっている(中小企業には例外あり)。

 残業代の「単価」の計算方法は、労働基準法やその施行規則で決められている。

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