学校に行かなければ勉強できない。そんな価値観はいま変わりつつある。それを助けるのがオンライン学習ツール。要件を満たせば「出席扱い」になるのだ。AERA 2019年11月18日号に掲載された記事を紹介する。
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小中学校で不登校の児童生徒数は2018年度、前年度より約2万人増え、16万4528人だ。
文部科学省は、学校に行けない子どもたちがIT教材などで自宅学習した場合も、出席扱いにしてその成果を評価に反映できる通達を出している。だが、保護者にも学校にもあまり知られていない。05年の制度施行から今までで、出席扱いになったのは286人だけだ。
保護者が学校に持ちかけても、学校や教育委員会で否決され、「認定されるのは5割以下」と指摘するのは、オンライン学習サービス「すらら」を運営するすららネット・子どもの発達支援室室長の佐々木章太さんだ。
「すらら」では現在小学生から社会人まで約6万人が学ぶ。アニメーションを使ったわかりやすい解説、ゲーム性のあるドリルに加え、「無学年式」と呼ばれる学習方式が特徴だ。例えば小3で習う「掛け算の筆算」でつまずいた子には、小2の「百の位の繰り上げと繰り下がり」にさかのぼって理解を確かめる、といった具合だ。
暗記や文章問題が苦手といった学習面だけでなく、集中力が続かない、パニックになりやすいなどの特性も、すららコーチと呼ばれるサポーターが保護者にヒアリングし学習計画を立てる。すらら入会者のうち900人近くが不登校の小中学生だ。
こんな充実した学習を家庭でできるのであれば、出席としてカウントしようというのが冒頭の通達。出席扱いになることで、何が変わるのか。
「出席日数ゼロのままでも卒業はできますが、通知表上は評定不能となり、高校進学などの妨げになることもある。何より子どもの努力を大人が認めることに意味がある」(佐々木さん)
千葉県の私立高校1年の女子生徒は、中1の夏休み明けから不登校になったが、すららを利用した学習で出席認定を獲得し、高校進学を果たした。母親が振り返る。
「最初は、なんとか学校に連れていかなきゃ、と毎朝バトルを繰り返していました」
子育てが間違っていたのではないかと悩み、娘とぶつかったが、「家で勉強する」と親子で決めた。