●親が心がけられること

・無理に先に進まない
 今できていないことをしてほしいからといって、その練習を無理にしないことです。例えばお座りが不安定な子に、おすわりの練習を毎日する。のではなく、その前段階のうつ伏せ遊びをしっかりさせることの方が大切。うつ伏せ遊びをしっかりさせることで、体感を鍛えることが将来のお座りへつながります。

・比べるときは「少し前の自分の子」
 よその子と比べてしまいそうになったら「少し前の我が子」と比べるように心がけます。赤ちゃんは毎日少しずつ成長しています。もし、今、寝返りができないことが課題だと思っていても、前はうつ伏せもしんどそうだったのに今は余裕ではないですか?比べる対象は少し前の我が子です。

・「できた!」を見つける
「少し前の我が子」と比べながら次にしてほしいことは、赤ちゃんの「できた!」を見つけること。「うつ伏せで30秒遊べるようになった!」「身体を横向きにできるようになった!」など、「できた」は日常にたくさん転がっています。「できた」は、大きな「できた」ばかりではありません。小さい「できた」をどんどん見つけて毎日「〇〇ができるようになったの!すごいっ!」と、「できた」に共感しましょう!

●心配な時は専門家に相談

 発達について不安がある時は、専門家に相談することも一つです。保育所では、送迎時によその子と我が子を比べる場面に遭遇します。「Aちゃんはもうこんなことしているんだ。うちの子まだなのに」が、だんだん不安になってきて「うちの子大丈夫でしょうか?」と相談されることがあります。経験上、多くの場合は「大丈夫」なことが多いのですが、保育士が「大丈夫」と言ってもなかなか親の不安が取り除かれない場合は、「市役所で相談会もありますよ」と専門家の紹介をすることがあります。心配な時は、悶々と一人で抱え込むのではなく、専門家に話を聞いてもらうだけでも、心がスッキリします。

 よその子と比べるのではなく、今目の前にいる我が子を見つめ、抱っこして、言葉をかけて、ふれあって、遊んで刺激を与えることを日々繰り返していきましょう。(文/中田馨)

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中田馨

中田馨

なかた・かおり/1978年生まれ。兵庫県の認可保育園、中田家庭保育所施設長。一般社団法人離乳食インストラクター協会代表理事。保育士目線の離乳食講座受講生は4年で2000人。自身も中3男子、小5女子の子育て中。

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